プロローグ
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が一本の剣で神を殺した。
男は神の力を奪い、人々を救う為、別の神、また別の神と戦い、勝利した。
そして……。
永く続いた男と神々の戦いは男の勝利に終わり、男は永い眠りについた。
眠りについた男の傍には、男と戦いを共にした剣があり
その剣は男が殺してきた神々の血を吸い、膨大な力を宿して、紅に染まっていた。
男に救われた人々は剣を男と共に棺に入れ、感謝の祈りを捧げて保管した。
彼が目覚めるその日まで……。
それから何百年の時が経ち、男と同じように神を殺す者が現れた。
イタリアの魔術師は彼等をこう呼んだ『カンピオーネ』。
地上の覇者にして、抗う事の出来ない魔王と…。
こうして、一人また一人と、『カンピオーネ』となっていく時代のなか。
永い眠りについていた魔王がついに目覚める。
これは二十一世紀に目覚めた魔王の物語である!
たしかこんな感じのプロローグだったよな。
それにしても長いな……。
合図はまだなのか?結構経ったと思うんだが……。
んん……なんだろ、何か眠くなって……。
……。
「で……、はじめ……よい」
ん?
「本当にこれで棺に眠りし、魔王アロウン様は目覚めるのか?」
「ああ、理論上は問題ない。」
「だが、もしアロウン様の逆鱗に触れたら……」
「その時は計画通りにお怒りを静める」
「……わかった」
男達の声が聞こえる。
まさか、目覚めのシーン始まってる?
棺の壁から聞こえる声に耳を集中させる。
「では、儀式を始める!」
よかった!セーフ!!俺セーフ!!
どうやらまだ大丈夫らしい。
でも、一つ疑問がある。
主人公を目覚めさせる司祭の役の人、こんなにおっさんみたいな声だったっけ?
もしかして、俺が寝ている間何かトラブルでもあって助っ人でも呼んでいたのか?
いや、今は演劇中だ、そんな事は後で聞けばいい。
沢山の疑問と戸惑いが浮かぶが、余計な事を頭から追い出して、劇に集中する。
「――――せよ!!」
ボン!
予定には無い長い呪文が終わり、合図の火薬の音。
今だ!
ゆっくりと音をたてないように、棺を開けて立ち上がる。
ん?スモークが濃いのか?ライトの光が見えないぞ。
まあ、もうすぐ見えてくるだろう。
そう、思った時だった。
スモークは消えていき視界が見えてくる。
よし!じゃあここでセリフを……。
ゆっくり息を吸い、腹に力を入れる。
「随分と騒がしい、起こし方だな」
俺の言葉と共にスモークが消え、周りには知らないおっさん達が居た。
……だれ?
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