第十九話 もてない苦しみその六
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「ラーメンは嫌いじゃないのよ。豚骨でもね」
「じゃあ何が不満なのよ」
「他のもどうかなあって」
「他の?」
「そうよ。うどんとか」
「あっ、それもいいわね」
七美はそれを言われて納得したかのように頷いてきた。
「おうどんいいわよね」
「そうでしょ。今夜結構冷えるし」
「それじゃあさ。私のお家で食べようよ」
「あんたん家で?」
二人は彰子の申し出に顔を向けてきた。
「うん。私おうどん作るの得意だしさ。明香も好きだし」
「ああ、妹さんね」
「そうだよ。だから四人でどう?」
「まあ誘ってくれるなら」
「ねえ」
七美もコゼットもそれに異論はなかった。むしろ思わぬ嬉しい誤算であった。
「じゃあさ。行こう」
「ああ」
「じゃあそれで」
「天麩羅うどんでいい?」
「えっ」
それを聞いた七美の目の色が忽ち変わった。
「天麩羅うどんって!?」
「どうかな、それで」
「それでってあんた」
何かさらに態度が変わっていく。
「いいの、それで」
「うん。コンビニで天麩羅買って」
「最高じゃない。天麩羅うどんが食べられるなんて」
「ちょっと七美」
コゼットは何か急に様子が変わった七美に声をかけた。
「どうしたのよ、急に」
「いや、あたしね」
七美はそれに応えて言う。
「これでも天麩羅は大好きでさ。それにうどんもね」
「そうだったの」
これはまた意外な好みであった。それにしても本当に好きそうである。
「他には天ざるも好きなんだよ。あれは最高の組み合わせだね」
「何かジャパネスクね」
「そうさ、和食の醍醐味ってやつだよ」
七美は左目を閉じて会心の笑みで言う。
「じゃあコゼットちゃん、行こう」
「そうね。それじゃあ」天麩羅うどんへ」
「いざ出発進行」
こうして怪しげな闇鍋から離れて天麩羅うどんへと向かって行った。その後ろで行われているその闇鍋からは記憶から完全に消え去ってしまっていた。
翌日。天麩羅うどんを心ゆくまで堪能した三人は教室でカムイに出会った。
「よお」
何か彼は異様にげっそりと痩せてきた。
「・・・・・・どうしたのよ、また」
七美は怪訝な目で彼に声をかける。
「いや、別によ」
「別によって」
言おうとしない彼に突っ込みを入れる。
「何もなくて一日でそんなに痩せないでしょ。何があったのよ」
「だから何もねえって言ってるだろ」
カムイはムキになって言い返す。
「放っておいてくれよ」
「まあいいけど」
七美もそれ以上は聞こうとはしなかった。
「身体には気をつけなさいよ」
「ああ」
それで彼との話は終わった。だがコゼットとはこっそりと話した。
「絶対にあの闇鍋よね」
「そうよね」
二人は言い合う。
「あれで何す
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