第48話
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シェリーはその麻生の態度を見て眉をひそめる。
「この短時間でここまでの術式、見事と褒めておこう。」
「今さら命乞いしても遅いからな。」
「命乞い?
そんな事をする訳がないだろう。」
「なに?」
麻生は左手を垂直に伸ばしながら言う。
「命乞いって言うのは自分が負ける状況の時に使う行動の一つ。
なら、俺がそんな無様な事をする訳がない。
なぜなら、俺は負けないからだ。」
麻生の左手の掌に小さな魔方陣が現れた瞬間、地下鉄内に描かれた全ての魔方陣に被さるように別の魔方陣は浮かび上がる。
そして、二つの魔方陣が重なるとバキン!!、と一斉に音を立てて描かれた魔方陣が全て消え去った。
その光景を見たシェリーは絶句する。
「一体・・・・何をした!?」
「簡単な事だ。
お前が描いた魔方陣に込められた意味、方角、魔力の流れなどそれらの意味を打ち消すように魔方陣を組み立てて、描かれている全部の魔方陣に上書きして相殺しただけだ。」
シェリーは麻生の説明を聞いても信じられなかった。
あれらの魔法陣には別々の意味があり解析、分析、相殺、これらの手順を行うには時間がかかる。
さらに魔方陣の数は一〇〇を超えている。
莫大な数の魔方陣の短時間で見極め、魔方陣を構築して相殺する魔術師などシェリーは聞いた事ない。
ましては麻生は生粋の魔術師ではない、それなのにこんな離れ業をやってのけた。
「くそ、ちくしょう・・・・」
これだけ大掛かりな準備をした攻撃を糸も簡単に相殺され、シェリーは動揺を隠せないまま一歩、二歩、とよろめくように後ろへ下がりながら、忌々しげに呟いた。
「戦争を「火種」を起こさなくっちゃならねえんだよ。
止めるな!今のこの状況が一番危険なんだって事にどうして気がつかないの!?
学園都市はどうもガードが緩くなっている、イギリス清教だってあの禁書目録を他所に預けるだなんて甘えを見せている。
まるでエリスの時の状況と同じなのよ。
私達の時でさえ、あれだけの悲劇が起きた。
これが学園都市とイギリス清教全体なんて規模になったら!
不用意にお互いの領域に踏み込めば、何が起きるかなんて考えるまでもないのに!」
シェリーの叫びを聞いた麻生はため息を吐く。
「お前の考えは理解できる、なんて事は言えない。
けどな、お前のしている事は間違っていると俺は言える。
怒るのも哀しむのもお前の勝手だ。
だが、その自分勝手な感情を周りに八つ当たりのようにぶつけるのは違う。」
エリスが死んでしまったのは、一部の科学者や魔術師が手を取ろうとしたり、それを危険視したイギリス清教の人間のせいだったらしい。
それを知った瞬間、果たしてシェリーは何を考えたのだろうか
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