第47話
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り、ぼんやりとした像でしか捉える事ができないがその人影は、少年のようだった。
風斬は十字路の真ん中にいる。
その少年は、対峙する風斬と石像を遮るように、横合いの通路から歩いてきたらしい。
少年が何気なく差し出した右手が石像の巨大な腕を掴んでいた。
右手で掴んでいるだけで戦車も薙ぎ払えそうな巨大な腕の動きを止め、あまつさえ、ビシリ、と音を立てて亀裂が走る。
「エリス、反応なさい、エリス!
くそ、何がどうなっているの?」
珍しくうろたえるような女の声に、その少年は見向きもせずただ真っ直ぐに、風斬氷華の顔を見ている。
「待たせちまったみたいだな。」
その声に聞き覚えがあった。
元より、彼女の知る人物の数などたかが知れている。
その声は力強く、温かく、頼もしく、何より優しかった。
「だけど、もう大丈夫だ。
ったく、みっともねぇな。
こんなつまんねぇ事でいちいち泣いてんじゃねぇよ。」
風斬はまぶたをこするとその先に彼が、上条当麻が立っていた。
彼の背後にいた石像の全身に亀裂が走り回り、ガラガラと崩れていく。
「エリス・・・・呆けるな、エリスッ!!」
金髪の女は白いオイルパステルを握り潰しかねない勢いで掴みながら叫ぶ。
そして抜刀術のような速度で壁に何かを書き殴り同時に、何事かを早口言葉のようにまくし立てる。
すると、コンクリートの壁が泥のように崩れ落ち、ものの数秒で天井に頭を擦り付ける石像が完成する。
上条当麻は振り返る。
追い詰められた少女を守るように、歪な石像の前に立ち塞がるように。
その光景に風斬は驚き、金髪の女は笑みを引き裂く。
「くっ、はは。
うふあはは!何だぁこの笑い話は。
おい、一体何を食べたらそんな気持ち悪い育ち方するんだよ!
ははっ、喜べ化け物。
この世界も捨てたもんじゃないわね、こういう馬鹿が一人ぐらいいるんだから!」
そんな金髪の女の笑い声に風斬は肩を震わせたが上条は間髪入れずに答えた。
「一人じゃねぇぞ。」
は?、と金髪の女が間の抜けた声が上げかけたその瞬間だった。
風斬の真後ろの通路から誰かが走ってくる音が聞こえ、いきなり風斬と上条を抱きかかえるとそのまま真後ろに下がる。
それに合わせるかのように金髪の女がいる通路以外の三方から強烈な光が襲いかかる。
それは銃に取り付けられているフラッシュライトのものだった。
一丁、二丁どころではなく、三〇人から四〇人にも及ぶ人々がこの場に集まっていた。
警備員。
彼らは一人として、無傷な者などいない。
腹や頭には包帯を巻き、腕や足を引きずっていた。
病院に運ばれていてもおかしくないのにそれでも彼らは臆することなく駆けつけてきたのだ。
風斬は抱きかかえ
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