第十九話 もてない苦しみその三
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「それでね」
「ええ」
「何かうちの学校って色々な集まりがあるのね」
「まあ大きいからね」
七美は彰子の言葉にそう返した。
「訳のわからない組織もあるわよ」
「そうなんだ」
「訳のわからない場所もあるしね」
「訳のわからない場所」
「ええ、例えばね」
七美はそのうちの一つを説明しだした。
「誰もいないのに勝手に曲を奏でるピアノとか」
「ふうん」
「勝手に踊りだす標本の骸骨とかね。そういう話もあるわよ」
何処の学校にも定番である。こうした話は他にも一杯ある。
「何か怖いわね」
「まあね。とにかくこの学校色々あるから」
「他にはあるかしら」
「嫉妬団もそうだし」
「今度こそあいつ等を倒す!」
カムイは勝手に暗い炎を燃やし続けていた。
「何があっても不思議じゃないわよ」
「面白そうね」
彰子はそれを聞いてまた言う。
「実際にどっか行ってみない?」
「骸骨見に?」
「ううんと、何処でもいいから」
首を少し傾げてから述べる。
「楽しそうなところ」
「わかったわ。それじゃあ」
七美はそれに応えて言った。
「今日の夜ね。行きましょう」
「うん」
隣でカムイが燃えているのを無視して話をはじめた。こうして彰子と七美は夜の学校に二人で向かうのであった。
その途中で褐色の肌の金髪の少女に出会った。目は青く少女めいた可愛らしい小柄な女の子である。フリフリのピンクの上着に青いズボンを穿いている。
「あら、彰子に七美じゃない」
「コゼットちゃん」
彰子が最初に彼女に気付いた。続いて七美が。彼女の名はコゼット=ミナワサ。インドネシア人で彰子達のクラスメイトである。今のところは取り立てて変人という話はない。
「何処行くの?」
「今から学校にね。訳のわからない場所を見に」
「訳のわからない場所ね」
コゼットはそれを聞いて考える顔をした。
「じゃあいい場所知ってるわよ」
「何処なの?」
「ええ、こっち」
そう言って裏手の一つを指し示した。この学校はあまりにも広い為校門も複数存在するのである。
コゼットが指し示したのはそのうちの一つであった。みればその門は厳重に閉ざされてしまっていた。
「閉まってるよ」
「そうね」
コゼットは彰子の言葉に返した。
「どうしよう」
「じゃあ方法は一つしかないわね」
「そういうこと」
コゼットは七美に対しては別の返事であった。どうやら何かと考えがあるらしい。
「それじゃあ彰子、行きましょう」
「行くって」
彰子は七美の言葉にきょとんとした顔を見せてきた。
「どうやって?」
「どうやってって決まってるじゃない」
七美は述べる。
「乗り越えるのよ」
「乗り越えるの」
「そういうこと、この校門をね」
「閉まって
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