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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
運命の夜の先へ
狂躁の夜を越えて(T)
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なきゃ、戦略も立てられねぇだろ」
「そこは申し訳無いけど、納得してもらうしかない。ごめんなさい」
「え、あ、うん」

 くそ、そんなふうに素直に頭下げられたら何も言えなくなる。

 主従関係ではあるが、彼女は下僕でも奴隷でもなく、大事なパートナーだ。
 使い魔として扱うとか道具として扱うとか、色々線引きは考えなきゃいけないけど、少なくともぞんざいに扱っていいものではない。

 なまじ人型なだけに、そういったモノとしての合理的な扱いが出来ないでいた。

(甘いなぁ、俺)
(甘いなぁ、マスター)

 主従揃って、考えていることは同じだった。

「まあいいさ。おまえが優秀なのは解る。信頼もしてる。戦術や戦略はこっちで考えるから、その場での判断はおまえがすればいい」
「ありがとう、レイジ」

 無邪気な笑顔で答えるフェンサー。

 ──もうだめだ。それで本当に何も言えなくなった。

 彼女を召喚した時から、俺に対する信頼は伝わってきている。
 そんな笑顔をされたなら、やっぱり俺も信じるしかないだろう。 

 基本的な能力は把握している。
 指示もちゃんと聞いてくれるのは昨日でわかっているし、ここぞというときに切り札を解放する判断は、彼女に任せておこう。





 士郎が目覚めたのか、何やら奥の部屋で騒いでる二人のもとに向かいながら、これから本格的に始まるだろう戦いに思いを馳せていた。
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