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故郷は青き星
第十七話
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に立たないと歴史が証明している。我々よりも進んだ文明を持つ彼等がそれを判らないはずが無い」
 ウォルターの意見をケネスは一刀の下に切り捨てた。
「いえ……あの、労働力としての奴隷ではなく。その……」
 ウォルターが言いよどみながら、チラッと女性達の方を見やると、彼の言いたい事に気付いたジョイスが彼の頬を張り飛ばす。
「何で打つの?」
「厭らしい目で見ないでください!」
 ジョイスの蔑むような目にウォルターは沈黙する。

『種族が違えば美的感覚も違うだろうし、そういう目で見るのは難しいんじゃないか?』とケネスは思ったが、今は黙っているべきだと思い、話題を変えるためにトールに話を振る。
「トールはどう思う?」
「現在彼が我々に求められているのは、身体データ調査許可。そしてパイロット適正が高かった場合には地球との交渉の協力。まあ我々に出来るのはヒューストンを通じて合衆国連邦政府と彼の交渉の仲介でしょう」
「そんなこと出来ると思うか? 誰も信じないで俺達はキチガイ扱いされるさ」
「出来るも出来ないも、火星を離れてすぐに通信が途絶したウルスラグナがいきなり地球衛星軌道上に現れて、宇宙人に遭遇してここまで連れてこられたと我々が言えば、嫌でも信じるしかないでしょう。なにせ予定を一年も繰り上げて帰ってくるんですから」
 そう言ってトールは笑うと他の乗組員達もつられて笑った。やけくそで笑うしかなったか。
「それに、もし嘘を吐いていたとしても、圧倒的な立場にありながら力づくで言う事を聞け! と言わない彼なら、それほど酷い嘘は吐かない気がします……勘ですけどね」
 トールの言葉にケネスは頷く。彼も同じように感じていた。
「そうなると彼が嘘を吐いていて、我々の行動が地球の不利益になる可能性があるとするならば、我々の身体データを彼に渡すこと自体が問題である場合だけですね」
「我々の身体データか……地球の不利益なる場合か、奴隷などの労働力ではなく我々の身体から何か必要な物質が取れるとか?」
「それは無いでしょう。彼等の技術レベルなら我々の髪の毛などからクローンでも作ると思います。あんな馬鹿げた規模の移動する宇宙要塞を作ってしまうような宇宙人です。必要なら何億体でもクローンを作る工場でも造ってしまう。そうではありませんか船長?」
「そうだな、クローンを作れるなら、わざわざ地球人一人一人を捕まえて何かするなんて野蛮な真似をする輩とは思えないな」
「ですから船長。早く調査を終わらせて私が治療を受けられるようにしてください」
 色々と台無しだったが、全員の意見として身体データのサンプリングに協力することとなった。
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