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魔王の友を持つ魔王
§28 広がる戦禍
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「しっかし、なんでみっきー狙ったのかねぇ。四家相手に脅迫とか?」

 陸鷹化とかいう青年の腕は冷蔵庫に放置することにして、三人は後回しにしていた議題を話し始める。つまり、何故に幹彦が襲われたのか、ということだ。「腕なんて適当に埋めちゃえば?」なんて発言をかましてくれやがったお嬢様(えな)は部屋の外へ放り出した。「ぎゃふっ!」などと美少女にあるまじき奇声を発したのは気のせいだろう、きっと。扉の外から「冗談なのにぃー」などと聞こえてくるが聞かなかったフリ。

「マスタぁ……」

 嘘が真になったらたまらない。エルが非難の目で見てくるが黎斗としてはここで腕の埋葬案を承諾するのはごめんなのだ。理由は単純、腕を埋めたらそれを養分にして生えてきた野草を食すことになりそうで怖いから。これは考え過ぎなのだろうか? エルも恵那も気にしていないようだけれど。つまりはこのお嬢様の料理はワイルドすぎるということだ。これでマズければ文句も言えるのだが美味しいのだから始末に負えない。だが、上手いからといって黎斗はそんな物を口に出来るような精神構造の持ち主ではない。野草を食べるのがまずおかしい?それは気のせい。

「それはないでしょう。陸鷹化は羅濠教主から直接武芸を授かった唯一の弟子です」

「羅濠? 誰それ? 教主ってことは、なんか怪しい宗教の主かなんか?」

 杖をついた白髪のおじさんが「神を崇めよ、はぁあ〜!!」などと言っている姿を想像した黎斗はゲンナリとするが、その姿を見たエルがもっとゲンナリする。ここまで以心伝心だと、考えていることが即伝わることを喜ぶべきか少し悩む。

「羅濠教主は現在ヴォバン侯爵に次いで古い羅刹の君ですよ。……前もこんな話題になった気がするんですけど」

 白目で睨むエルから慌てて視線を逸らす。そういえば、そんな話を聞いたことがあるような気もする。

「あの御方が動かれるなんて、我々としてはたまったものじゃないですよ。なんてったって価値観が自然>>(超えられない壁)>>人間な御仁ですし」

 はて、どこかで聞いたような事だ。などと疑問符を脳裏に浮かべる黎斗に対し、エルがその答えをさらっと見せる。

「そこだけ聞くと一時期のマスターみたいですね」

 灯台下暗し。そういえば環境破壊の元凶達(にんげん)よりかは動物の言を聞いていることが多い気もする。ヴォバンが来た時などはそれが顕著だったか。思わず納得してしまいそうになったが、ここで納得してしまえば色々負けた気になるのでせめてもの抵抗を試みる。

「失敬な。僕は自然>人間くらいで済ますぞ」

「……自然優先は変わらないんですね」

 主従の会話に諦めたようなツッコミが甘粕から入る。その表情はどこか疲れているようにも見える。

「とりあえず、九法塚
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