§27 夜の街での襲撃者
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化に腕を取り返しに来られたらたまったものではない。余裕で退治できる人に持っていてもらうべきなのだ。
「……こほん。とにかく無理ですよ無理」
「じゃあコレどうすんですか!?」
困った。どうしよう。冷凍庫の中に片腕を保存するのはグロいから却下。幽界には冷凍保存できる環境は無いし、須佐之男命や黒衣の僧はともかく、玻璃の媛にまで押し付けるのは良心が痛む。倉庫に押し込んだらロンギヌスをはじめとしてブーイングの嵐になりそうだし、万が一偉人から貰ってきた物に返り血がついたら泣くに泣けない。チンギス=ハンの帽子とか間違いなく世界に一つだけだ。それよりなにより、防腐処理が出来ないから、倉庫に放置したら絶対腐る。そしてそれはとっても困る。やっぱり護堂に押し付けるしかないか? 消去法で選んだ最後の選択肢だが、これも微妙だ。想像してみてほしい。
……兄がコソコソと何かを隠している。ナニカを部屋に隠す姿を。それを見つけた静花(いもうと)は、ひっそりと兄の部屋を漁る。そこで彼女が見つけたのは???新鮮で血色の良いダレカの片腕。
「ダメだこりゃ…… 草薙一家家庭崩壊、なんてコトになったら困る」
さて困った。死体の長期保存はお茶の子さいさいお手の物なのだが、生きている人間の一部の保存は研究してこなかったし関連資料を漁った記憶も全くない。冷凍保存とか民間の冷蔵庫で出来るのだろうか?
「封印とか面倒くさいしなぁ。あーあ、失敗したよ。腕もいでくるんじゃなかった」
燃えるごみに出してやろうかいやそれだとゴミ回収業者の人が仰天する、コンポストに突っ込んで肥料にしてやろうかいやそれだと今度はコンポストの持ち主が悲鳴を上げる。もうどうしろと。
「オブジェにして飾るには趣味が悪すぎる。返してくるべき……?」
「馬鹿にしているのか!」などといって攻撃されそうだけどしょうがない。置き場がなく捨てられない、オマケに持ってるだけで周囲に引かれる、とくるような物騒な代物は下手なゴミよりもタチが悪いのだ。
「ついったーとか大型掲示板で処理方法急募してみるべき? 「【生の肉】ゴミ捨て方法教えてくれ【拾っちゃった】」みたいなカンジで 」
「「それでマトモなレスが来たら奇跡でしょうねぇ」」
甘粕とエルの声が綺麗にハモった。黎斗としても望み薄なのはわかりきっているので落ち込むことはない。
「じゃあどうするよ……」
頭を抱える三人。試合に勝って勝負に負ける、そんな単語が脳裏に浮かんだ。
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