§27 夜の街での襲撃者
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に激突した彼の両足に、棒手裏剣が突き刺さる。
「ぐ、ぁ……」
煙が晴れると同時に崩れ落ちる鷹化を見やり、黎斗は己の服の裾を軽く払い埃を落とす。大鎌についた鎖がじゃらりと鳴った。既に趨勢は決している。想像以上に一方的だったのか、幹彦が唖然としているのがこちらからでも良く見えた。
「さて、と。まぁこんなもんで……って今度は誰よ」
黎斗が声の主を探して頭上を見上げれば、目に映るのは亜麻色髪の少女が降下してくる姿。今日は千客万来だ。彼女に向かって大鎌を軽く薙ぐ。生じた鎌鼬をギリギリで避けて、少女は戦闘不能となった鷹化の元へ駆け寄った。血を滴らせているということは完全回避は出来なかったのだろう。
「情けないぞ小僧っ!!」
真っ向勝負は不利、と瞬時に悟ったアーシェラは鷹化を復活させる方を急ぐらしい。足止めに放たれた無数の使い魔を片っ端から叩き落とす。周囲を破壊してしまう大技は使えないから、ぷちぷち君潰しをしている気分になってきた。
「め、めんどくせー……」
思わずつぶやいた彼を誰が責められよう。雑魚戦闘が終わったので次の一歩を踏み出したらまた雑魚戦闘、そんな気分だ。しかもこの場合相手は大量の小物を連れての登場である。こっちは全体技禁止。まったく、やっていられない。
げんなりする彼の目の前で少女は青年に突き刺さった短刀を軽々と引き抜いていく。その光景を見て、思わず黎斗の目が点になった。高位の魔術師ですら呪詛のルーンを刻まれているこれは容易に引き抜けない筈なのだが……
「まつろわぬ神……ではないな。そんな気配微塵もない。っかそれなら僕とガチればいいだけだ。じゃあ何? 神獣には……見えないしなぁ。神祖の類かな」
さて、困った。本性を出されてここで暴れられると面倒だ。大騒動にすると言い訳が思いつかないではないか。主に鎮圧方法の。まったく、やっていられない。
「眠れ」
「−−−−」
ディオニュソスの精神を操る能力葡萄の誘惑。黎斗の言葉を聞いたアーシェラは、抗うことも許されずに意識を深い奈落へと落とされる。糸の切れた人形のように、彼女は大地に倒れ伏す。この状況に陸鷹化はたまらず悲鳴を上げた。
「おいおいおいおい冗談だろ!?」
ようやく自分たちの手に負える相手ではない、と理解したのだろう。アーシェラを連れて陸鷹化は飛び上がった。戦略的撤退、もしくは逃げると呼ばれる行為。その判断は本来ならば致命的に遅すぎるのだが???
「逃がして親玉に情報を与えた方がいいかなぁ?」
ここで潰すよりは失敗を知らせて企てを断念させた方がよいのではないか。そんな思いに駆られた黎斗は追撃という選択肢を破棄する。だが
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