§27 夜の街での襲撃者
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、か。噂だけは聞いたことがある」
「へー。みっきー、つまりソレって”すごく強い”って認識でいいの? みっきー何人分くらい?」
緊張を孕んだ硬い表情の幹彦に黎斗が投げかけた言葉は、とても軽い。そんな黎斗に対し「落ち着いている場合じゃない!! 彼はすごく強いどころの騒ぎじゃない!!」と叫ぶ余裕すら本来幹彦には存在しない、のだが。
「れーとさん、恵那がいこうか? わざわざれーとさんが戦わなくても。苦戦はするけど、そこそこイイ線いけると思うんだけど」
苦戦する、彼我の実力差をそれなりに見抜く恵那に「思ったよりやるじゃん」などと思いつつ。
「んにゃ、それでもいいけど陸鷹化だっけ? 彼と恵那の実力って贔屓目に見てほぼ拮抗、ぶっちゃけしんどいっしょ。叢雲でもあれば話は別だろうけど。まぁ任せなさいな」
見た感じ強さは恵那とどっこいといったところか若干彼の方が上だろう。叢雲が手元になく神憑りが出来ない現状では危険すぎる。
「恵那もれーとさんの役に立ちたいんだけどなぁ」
「まぁ、とっとと終わらせて帰りましょ。早くしないと明日になっちゃって狩りの約束に間に合わない。あのクエスト多分時期限定だから急がないとなのに」
「まーたやるの? ハンバーガー食べながらそんなこと、毎日やってたら身体壊すよ」
ここ数日堕落しきった生活を送っている黎斗に監督者からチェックが入るのだが。
「馬鹿は風邪ひかない。だから大丈夫」
キリッ、そんな擬音が似合う表情で黎斗が言い切る。
「今の時代に風邪ひくのは体調管理も出来ない馬鹿だ、っておじいちゃま言ってたよ?」
そんな反論をバッサリと切っては捨てる恵那。一撃である。
「スサノオェ…… 大体アイツに今の時代も昔の時代もあるもんか。ネット環境皆無テレビ無しラジオ無しの環境で生きられる時点で今の時代を生きてないだろ。これで今の時代を謳歌してるとしたら青春に生きるリア充方面でしょ。爆発しろと言わざるを得ない。まぁ学ラン来て応援団とかそっち方面の青春かもしれないけどさ」
命のやり取りをするべき場において、呑気なやり取りが恵那と黎斗で行われる。挙句信じられない発言が黎斗の口から飛び出したことで幹彦の緊張は何処かへ吹き飛び、二人にむかって怒声を飛ばす。
「ふざけている場合じゃないだろう!!」
「……幹彦さん、マスターがどうもすいません」
眩暈を抑えるかのように、エルが幹彦に謝罪した。悲哀に満ちた彼女の表情は幹彦をとりあえず正気に戻し、場の状況を整理することに成功する。
「い、いや、エルさんのせいでは……」
「なんだかどうして余裕だねぇ、と思ったけれどそうか、兄さんが噂に聞いた須佐之男命の眷属か。それならこの余裕も頷ける。
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