1.いっちねんせ〜になったら(ry
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
頃の子どもはどうあがいても舌足らずになってしまいます。
それは小学校に入学してしばらく経ったある日のことであった。
『―――!―――!』
「ん?なんだなんだ」
その日最後の授業を終えホームルームも完了。全員で元気よくさようならをした後、俺はしばらく友達と話し、さあもう帰ろうとかばんに手を伸ばした時、教室の隅っこでなにやら大きな声が聞こえてきた。
見ると、なにやら女の子二人がけんかを……いや、片方が片方のカチューシャを取り上げていじめているようだ。
いじめている方が、確かアリサ・バニングス。二三言しか話したことはないけど、普段の態度を見る限り成績は優秀。けれど友達を作るのが苦手なのか一人でいることが多い。
もう片方が月村すずか、だったか。こちらも成績は優秀。物静かな性格なのかお喋りする子はいるもののあまり深く接せずよく本を読んでいる。
うーむ。なぜこんな二人がけんかを……おっと、いかんいかん。なにはともあれけんかを止めないと…っと?
場を収めようと席を立った俺の目に映ったのは、何処からかつかつかと歩いてきた一人の女の子がけんかをしている二人に近づき、そしてアリサの頬をぶっ叩いた、っておい。
呆然と頬を押さえるアリサに向けて、その少女は、
「痛い?でも大事な物をとられちゃった人の心はもっともっと痛いんだみょっ!?」
スパーン、と小気味いい音を鳴らして頭を引っ叩いたらなんか斬新な語尾になった。
やれやれ、驚いた。この子は…高町なのは、だ。前述の二人よりは言葉を交わしたことがある。が、まさかこんなぶっ飛んだことをするとは思わなかった。頬はだめだろ頬は。
頭を抑え涙目で睨むなのは。何か言いたげな表情だが、こちらとしても物申したいことがある。
「このバカちんが。確かに大切なものをとられたら辛いけど、それでもやっぱり叩かれたら痛いんだよ」
なのはの頬っぺたを掴みむにむにしながら言う。反論したそうだが変な顔になっているせいでうまくしゃべれていない。にしても、よく伸びるほっぺだぜ。
限界まで引っ張った頬をぱっと放し「あうっ」身体の正面をなのはからアリサに変え、その勢いのまま今度はアリサの頭を叩く。なのはの時と比べて威力は四割減くらい。
「お前もだ。一方的に誰かを傷つけるなんて一番やっちゃいけないことなんだぞ」
「……あの、それなら一番ひどいのはキミなんじゃ…」
おずおずと。恐る恐るといった感じに発言するすずか。普通の人が聞けば至極真っ当だと思い息巻いて俺を糾弾してくるのだろうが、生憎ここにはまだそんな嫌な大人になっていない純粋な子どもしかいないのだ。
加えて、用意周到な俺は効果的な言い訳もすでに準備してある。
「何を言っているんだ。確かに叩かれたら痛いけど、叩いた俺の心も痛いんだ!」
一部の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ