§25 とある富豪な魔王陛下
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はれーとさんの行きたいとこだったらどこでもよいけれど」
「カニカマとズワイガニの違いがわからない人間がそんなトコ行ってどうするんですか……」
「……御尤も」
どっちも同じにしか感じない自分の味覚は貧乏性なのだろうか。
「れーとさん、いくらなんでもそれはないよ……」
どうしよう。高級料理なんて縁がなかったからわからない。困った黎斗は辺りを見回して、とある建物に目をつけた。ここで作戦会議と洒落込もう。我ながらなんという名案だろう。
「よし、そこのスタバで細かいことを考えよう。ここで歩きながら話すのもなんだし。今店に行ってもピークで混雑しているだろうし。」
「……そうですね。ここで立ち止まって衆目を集めるよりはよろしいかと」
「ここって入ったことなかったんだよねー、ちょっと楽しみー」
店に入ってメニューを見る。二人が考えている中、黎斗はすぐに店員の下へ向かっていった。既に頼むものは決めている。
「すいません、ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンド キャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレート クリームフラペチーノください」
店員さんの営業スマイルが固まった。
「……え?」
「ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンド キャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレート クリームフラペチーノをお願いします」
「……お客様、申し訳ありませんがもう一度お願いします」
「……これ、見ます?」
「……お願いします」
予め用意していた紙を渡す。ホッとしたような表情でそれを受け取った店員の目が点になった。
「これとっても甘いですが、大丈夫ですか?」
「大丈夫、というわけではないですか大丈夫です」
どっちだよ、と突っ込まれそうな返答と苦笑い。つられたのか思わず店員さんも苦笑い。
「ちなみにコレ、何処でお知りになったんですか?」
「ちょっとネットで……」
人間だったころ、友達と行った時に彼が頼んでいた代物だ。正直ジュースよりも甘い、とんでもない代物。昔を思い出すからか、黎斗個人としては嫌いではない。
「さて、と」
精算を済ませ、恵那とエルを待とうとした彼に、大勢の好奇心あふれる目が降り注ぐ。こんなものを頼めば当然である。
「あ」
目立ってはいけないと、そう理解したはずなのに。こんなものを頼めば目立つのは必定。我ながらなんということをしでかしたのだろう。
「……わざわざ目立とうとなさいますか」
「れーとさん、何頼んでんのさ……」
呆れる二人の冷めた視線に、思わず黎斗も崩れ落ちた。
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