転生+異世界=せいぜい頑張るとしますかね。
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転生。
おそらく誰しもが聞き覚えがあるであろうこの単語は、二次創作や空想物語において今や欠かせないと言っても過言ではないほどの展開のことを指している。
神様の手違いで死んでしまい、お詫びという口実で異世界へ転生。原作を無視して縦横無尽に暴れまくる。そんなありきたりな展開。
……さて、何故俺が急にこんな話をしているのかというと―――――
俺も、その『転生』とやらをしてしまったからだ。
……誤解されないように言っておくが、俺は別に精神異常者でもなければ現実と空想の区別がつかなくなった現代の危ない若者でもない。だからその手に持った携帯電話を置いてくれ、頼むから。
ちなみに、俺は前世で神様に殺されてもいないし、転生する際に会ってもいない。つまり、よくあるパターンをすっとばしてよく分からないうちに転生していたのだ。迷惑この上ない。
しかも、これも誰かの陰謀なのか前世の自分自身を全く覚えていない。日常生活とか社会情勢とか、そういう記憶は完璧に残っているのに、自分のことだけはどうしても思い出せないのだ。
まぁ、自分の事を思い出せないからって別にそこまで支障はないんだけどね。この世界じゃ名前も姿も違うんだし。
転生してから二年間くらいだろうか? その頃が一番精神的に堪えた。何が嬉しくて精神年齢高校生の俺が抱き上げられたまま授乳されにゃならんのだ。恥ずかしくてたまらん。おしめ変えられるときだって顔から火が出そうだった。あの体勢は精神的にキツイ。羞恥プレイといっても過言ではない。
五歳になり、俺は自分より二つ上の従姉と初めて会った。褐色肌で口元の小さなほくろが特徴的な活発そうな美少女。
この年にしてここまで顔が整っている少女が、従姉。そのとき俺は初めて神様に感謝したかもしれない。美少女は人類の愛すべき宝です。
その日は彼女と夜遅くまで遊んだ。蹴鞠をしてチャンバラをして森の中で鬼ごっこをして。いくら俺が精神年齢二十歳過ぎといっても、遊び心はそこら辺の子供となんら変わらない。むしろ多いくらいだ。
遊び疲れて、二人で部屋に戻ると俺達はこっぴどく叱られた。拳骨を二発ほど貰ってしまったが俺達は顔を見合わせて笑っていた。
次の日、彼女とその母親が帰る日である。俺は玄関の外に出て、少女達の所にいた。勿論、見送りをするためだ。
『昨日はありがとう。久しぶりに楽しかったわ』
『こちらこそ、あんなにはしゃいだのは初めてかもな』
あははっ、と二人で笑う。まだ一日しか一緒に過ごしていないのに、俺と彼女は親友のような関係になっていた。
『あ、そういえば私達って自己紹介したっけ?』
『ん? ……多分、してないと思うぞ』
そういや彼女の名前を聞いていない。ってかお互いに名前も知らないのにあんなに遊んでいたのか
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