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八条学園騒動記
第十四話 消える魔球その二

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「いい加減ね、常識を持ってゲームしたら?」
「常識を乗り越えてこそそこに本当の栄光がある!」
 それに対するフランツの言葉はいつものフランツ節であった。
「そうじゃないのか!?」
「ああ、もう何言ってもわかんないみたいね」
 ここでエイミーは言うのを諦めた。
「じゃせめて屋上でやって。いいわね」
「何かぞんざいだな」
「もう言わないから。一人で好きにね」
「常識や理屈で魔球は開発できないっていうのに。俺は今猛烈に悲しい」
「悲しいならそれでいいから。それにしても」
 電源が切れた携帯ゲーム機を見る。
「最近こっちじゃあまりやってなかったけれど。そんなに燃えるゲームなのかしら」
「ああ、それか」
 それに応えるかのようにダンが出て来た。
「最近人気だぜ、それは」
「そうなの」
「ああ、俺もやるからな」
「ダンもゲームするんだ」
「意外か?」
「いや、何かバイクとかばかりのイメージがあって」
 エイミーは言う。
「ちょっとね」
「俺だってゲームはするさ。それにしてもフランツは」
「何?」
「ちょっとばかりゲームの仕方がな。どうにかならないものか」
「どうにかならないからああなんだと思うけれど」
「それもそうか」
 身も蓋もない言葉であったが正論であった。エイミーの冷めた声が実に印象的であった。
「まあ今はしていないからいいけれど」
「それでさっきの話だけどよ」
 ダンは言う。
「やってみないのか?」
「気が向いたらね」
 エイミーはそれに応える。
「何か家にいたら恋愛ゲームとか多くてね。そればかりしてるのよ」
 姉達、とりわけメグとベスの影響であるのは言うまでもない。次女のジョーにしても恋愛ゲームは結構好きな方である。意外にも乙女チックな趣味だったりする。
「恋愛育成ゲームか」
「そう、それ」
「あれは俺はちょっとな」
「あんたがしたら何か怖いわよ」
 率直に言う。
「完璧にイメージじゃないから」
「確かにな」
 本人もそれは認めた。
「俺はそちらはしないな」
「正解ね」
「俺はするぞ」
 フランツが話に復帰してきた。実にタフだ。
「そうなの」
「そう、愛もまた燃える」
「萌えるんじゃないのね」
「燃えてこそゲームだ!」
 彼は例によって後ろに炎を背負って力説する。
「どんな相手にも果敢に向かいそしてその心を掴む!恋愛ゲームとはそうあるべきものじゃないか!」
「・・・・・・お姉ちゃん達そこまではいかないけれど」
「それはまだ恋愛ゲームの本当のよさがわかっていない!いいか!」
 彼は力説と激論、というか一人舞台を続ける。

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