第十三話 オフレコその四
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「何度やってもその度に新しい発見があって本当に深い作品だと思います」
「成程ね」
「あっ、いい顔」
ここでジョルジュが動いた。
「ちょっと失礼」
そして撮影する。振り向いたその瞬間だったがそれが実によかった。
「いい写真が撮れたみたいね」
「任せてよ」
ジョルジュは得意満面で述べる。
「何せプロだからね」
「やっぱり貴方を連れてきてよかったわね」
ナンシーはジョルジュを見てにんまりと笑う。
「今度の新聞は大人気よ」
「写真なら何でも任せてよ」
「うふふ」
そんなやり取りを暫くしてからまた取材に戻った。
「それで最近何か興味あるものは?」
「興味あるもの?」
「好きな食べ物とか」
「それなら」
カトリは答えた。
「アイスクリームとか」
「アイスクリームが好きなの?」
「あとはケーキも。甘いものが好きなのよ」
「それってまずくない?」
ナンシーはそれを聞いて顔を顰めさせた。
「甘いものはちょっと」
「太るから?」
「そうよ。アイスクリームにケーキはやっぱり」
言うまでもなく太る。これはこの時代でも同じだ。
「やばいんじゃ。それにロシア人よね」
「ええ」
「余計に」
ロシア人と言えば女の人が太る。その方が頼もしいと言われて喜ばれるのだ。それも歳をとればとる程である。一説にはロシア人の中年以上の肥満はほど九割がそうであると言われている。
「やばいでしょ、それ」
「私が太るかもってこと?」
「言いにくいけれどそうよ」
「その割にはっきり言ったわね」
カトリも少し驚いていた。
「言わなきゃわからないじゃない」
「まあそうだけれど」
それも言うのは凄かった。
「それで大丈夫なの?」
「だってカロリー使うから」
カトリは言う。
「平気よ。毎日物凄く汗かくし体力使うし」
「ふうん」
「それに私太らない体質なの」
「羨ましいわね」
これは彼女の本音である。ついつい出てしまった。
「だからね。アイスクリームやケーキ食べても平気なのよ」
「そういうわけね」
「ええ。興味があるのはね」
「うん」
「ロックとかかな。最近そっちの方の音楽にも興味がいってるの」
「ふんふん、カトリがロックね」
それを受けてメモを取りはじめる。
「これは記事にしておくから。あとお菓子のことも」
「ええ、わかったわ」
「これでまずはよし、と。それでね」
「今度は?」
「これからはオフレコよ」
そう断ってきた。
「いい、誰にも話さないから」
「って言ってもここ皆がいるけれど。それにジョルジュも」
二人は囁き合う。顔がそっと近付いてきていた。
「ああ、それなら心配いらないわ」
「どうして?」
「見て」
ここでジョルジュを指差す。見れば彼は他
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