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ソロモン会戦記 
ソロモンの悪夢(後)
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一度たりとも僚機を失った事が無いと言う事実が安心感、信頼感を抱かせるのである。
その実績が端から見ると無謀な作戦にでも、黙って部下が従うと言う救心力と成り得ているのだ。

、ジオンに兵ありと言えども部下に対し、此処までの信頼感を抱かせる事の出きる者はそうは居ない。
優将。良将。猛将。名将。将に対する呼称は色々あるが、古来より部下に無敗の信仰を抱かせる者は英雄と言う。
戦場に英雄は居ないと言うがアナベル・ガトー。彼は間違い無く英雄であった。


 英雄の行進が始まった。
陽道のケリィが放った、メガ粒子砲の三斉射に敵が気を取られたその一瞬の隙を付いて、一気に距離を距離を縮めた。
2番機、3番機を勤めるリックドムが120ミリマシンガンで弾幕を張り敵の気を引く。4番機以下9番機のカリウス迄の6機は小さく蛇行しながらも、高速で進むガトーの真後ろに左右二列に分かれて付く。凸型陣型が△型に編成し直された形だ。

 三角形の頂点で進むガトーのゲルググは、敵の先鋒とも言うべき一個モビルスーツ小隊に近づくと、背中のビームナギナタを手に取った。
素早くビームの粒子が柄の先端と最後部に幅広の刃を形成する。その刃は連邦兵を死に誘うかの様に赤く妖しく輝いている。後方に従う部下達の攻撃、弾幕により左右の逃げ場を塞がれた敵は果敢にも前進してきた。

「ほう。連邦にしては度胸がいい。だが・・・!」

 フットペダルを踏み込み、距離を積めナギナタを横に払う。僅かの間も無く両断され巻きあがる爆発と閃光。余りの早さに一瞬動きの止まった敵を見逃す程ガトーは甘くない。
ナギナタの刃が宙も舞う度に一機、また一機と血祭りになって行く。爆発を免れ宙を漂う機体から漏れるオイルが戦場を染めあげる。肉塊が鉄の塊に、血がオイルに変わろうとも古来から変わらぬ凄惨な殺戮の場が瞬時に出来あがる。
殺戮の時間は終わらない。先鋒が全滅したのを見た残る3個小隊が広く展開しながら包囲を狭めてきた。
近距離戦で全滅したのを見た後であるから、戦術的判断は正しいが相手が悪すぎた。
広く展開した事は連邦お得意の相互支援体型を放棄する事になる。それを見逃すガトーではなかった。

「マウセン。ビュロー。丸形をこの位置から狙撃しろ」

左右を固める2番機3番機のパイロットである。共にガトーにその狙撃の腕を認められている。

 ガトーの指示が下ると、二人はマシンガンをオート連写にし一機づつ確実に撃滅していく。多少の距離があるとは言え脆弱な装甲しか持たない上、相互支援体型を放棄し弾幕すら張れないボールには迫りくる死に抗う術など無かった。一機また一機づつ確実に黄泉の舞台へと旅だって行った。

瞬くまにボールを殲滅された連邦軍部隊は、お互いの出方を伺う様にその場で止まってしまった。

「戦
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