暁 〜小説投稿サイト〜
ソロモン会戦記 
ソロモンの悪夢(後)
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
て来た泥沼の今だからこそ、それを忘れるべきでは無いのだ。
 無論、感情の全てを否定する物では無い。連邦に家族を、恋人を殺された物は多く居よう。其れが力になるのも事実だ。だが其れは連邦も同じであり、その果てない憎しみの連鎖に捕らわれてしまったら次に待つのは「死」だけなのだ。
そうなれば最早戦士呼べない。いつ戦場で死ぬか分からない身であるからこそ、自分とその周りの人間達位は戦士であり続けたいと思う。


「ガトー。敵の逃げていく方向に新たな敵陰が見えるがどうする?」

 ほぼ周囲の敵を一掃し、周囲の哨戒を担っていたケリィからの通信が届く。恐らく戦闘開始時に周囲の友軍に出した援軍要請が届いたのであろう。戦闘開始から10分での到着は速いと言えるが、この場合は遅きに失したのは否め無い。ガトー達による勝利が余りにも速すぎた為、連邦は敗残兵の収容を優先すると言う予想外の事態を向かえている。

 この機に際しガトーは攻撃の手を休め様子を見る事にする
敗残兵を収容し撤退するなら良し。抵抗するなら殲滅するだけである。ケリィのビグロを左翼後方に下げ、その前に302哨戒中隊は、ガトーを先頭に凸型陣形で布陣し連邦の出方を待つ事にする。


 きっかり15分後だった。敗残兵を収容したコロンブス型輸送艦撤退し、それを見守った連邦はマゼラン型戦艦を中心に前進してきた。
恐らく旗艦であろうマゼランの周囲は、7隻のサラミス型が騎士に従う従者の如く輪型陣を組み守りを固めている。
従者の持つ槍の役割を担うモビルスーツは4個小隊16機を数える。連邦のモビルスーツ編成の例に漏れず半数の8機はボールとは言え、一個中隊が相手するには本来なら多勢に無勢と言える。それは無論連邦の指揮官も思った事であろう。先に撃滅された小艦隊の仇を取るべく過剰とも言える戦力で前進して来たのである


 距離16000からの射撃はモビルスーツを目標とするには狙いが粗すぎたが戦闘開始を告げる点鐘とするには充分だった。7隻の巡洋艦と1、隻の戦艦から発射された幾数もの光軸は、漆黒の宇宙空間を貫きガトー達に光の洗礼を浴びせる。
目標座標がずれている為大した回避行動を取る必要は無かった。続いて二斉射、三斉射と発射されるがそのどれもガトー達の驚異とは成らない。

「中隊長より全機。各機陣型は保ったまま距離を積めろ。隙を見て一気に中心に突撃をかける。ケリィは左翼より大きく迂回しつつ遠距離からの砲撃による陽道を頼む。」

 モビルアーマーを利用しての挟撃作戦とも言えるが、僅か一個中隊、9機で敵のただ中に突撃するのは本来であれば無謀な作戦である。
火力の絶対量が違う敵への突撃など自殺行為でしかない。が302哨戒中隊員のガトーへの信頼は高い。ガトー本人が極めて優秀な搭乗員である事もあるが、彼がこれまで
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ