暁 〜小説投稿サイト〜
ソロモン会戦記 
ソロモンの悪夢(前)
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ガトーは、脱力から安心感こめて嘆息する。

「カリウス、識別信号を良くみろ。戦場では慌てず冷静でいろ」

「えっ・・あっはい」

「分からんのか?、味方だ。これだけ高速で動いてきてるなら一つしかあるまい、我が方のモビルアーマーだ」

モビルスーツと言う物は地上はともかくとして、宇宙空間では集団行動が前提の機動兵器である。地上と違い重力の無い宇宙空間では、モビルスーツ1機ないし、一個小隊程度の活躍で、戦況が覆る様な戦場と言うのは、中々存在し得ない。

それ故、宇宙空間の戦闘で、単機での火力より、集団としていかに効率良く火力を集中出来るかが問われる。ジオンはモビルスーツを、機動的に運用する事によってその問題を解決した
総合的な火力で連邦に敵わないのあれば、瞬間的に火力を特定の箇所に集中できる機動兵器を・・・それがモビルスーツの登場した必然である。

ミノフスキー粒子散布下の、有視界戦闘において有利と言う理由もあるのだが、それも突き詰めれば火力の集中と言う事に変わりない。
敵の懐に飛び込んでモビルスーツによる接近戦を・・・ルウム戦におけるジオンの戦術ドクトリンであるが、それは詰まる所近接火力の集中と言う事である。

だが事と次第によっては、単機火力の充実が必要な場合がある。
要塞等の拠点攻略時がそうであるし、強襲作戦を実施する場合に置いても単機火力の充実は必要であろう、それが故のモビルアーマーである。

今ガトーの目の前に現れた二本の腕を持ち、鳥の嘴の様な形をした緑色のモビルアーマーは、その戦術思想に最も忠実な機体と言われている
4連装ミサイルランチャーを二つに、マゼラン型戦艦の主砲に匹敵する火力を持つメガ粒子砲。装備した火力に見合う大きさである熱核ロケットエンジン2基から出される136100kgと言う恐べき推力。それは全く鈍重に感じないばかりか、その加速力に対抗できる兵器は、ジオンにも連邦にも他に存在しない。
圧倒的な加速力で接近し、圧倒的な火力で敵を殲滅する。単純明快であるが故に強力無比、太古の昔から変わらぬ戦の真理である。ーMAー05ビグロー 量産機としてジオン最強との呼び声も高い。

「ガトー、相も変わらず余裕を持った編隊機動だな。実に君らしい華麗な動きだ。」

 ビグロから聞こえてきた声は、果たしてガトーの予測した通りであった。
ケリィ・レズナー大尉、士官学校以来のガトーの盟友であり、その性格も義に篤く、ガトーと同じく軍人と言うよりは武人と言った方が相応しい。
パイロットとしても、僅か17機しか生産されていないビグロを与えられる程の逸材である。強襲戦闘を得意とする彼にこの機体は真に相応しい。

「やはりケリィだったか。世辞はよせ、わざわざそんな事を言う為に、此処まで来た訳ではないだろう?
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ