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ソロモン会戦記 
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プロ戦闘機から、人型の巨人に変わっても、戦闘行動の基本として軍人に広く知られている。

光点の先頭で後続を導くのはMS-14Aゲルググ。先日ロールアウトしたばかりの新型機だ。
ジェネレーター出力1440KW、スラスター推力61500Kg、と言うその性能は、ジオンの量産機の中では比較の仕様が無い位、群を抜いて優れており、連邦のガンダムの比べても遜色は無い。
本年10月末に先行量産機の25機が、完成したきりその生産は遅れに遅れていたが、12月に入りようやく生産が軌道に乗った所である。
正規型の14-Aが、量産されてまだ一ヶ月である本機に、実戦の機会殆ど与えられていない。
その為ガトーの302哨戒中隊は、本機の稼働データを取るべく、哨戒を兼ねたテストを行っていた所であった。

まだ慣熟も儘ならぬ機体を使っての実戦。
臆病と言う言葉とは無縁で、剛胆を持って鳴るガトーであっても、一抹の不安は拭い切れないでいた。

ー何を馬鹿な、ジオンの魂を具現した、素晴らしい機体では無いかー

そうは思っても、此までの乗機である、MS09Rリックドムとは余りにも、違いすぎるその操作に、慣れて無いのも事実である。

ー私でこれなのだ・・こうも操縦が複雑では、一般の兵の苦労は察して余りあるなー

事実、その操縦性の違いが、ゲルググの配備を遅らせている一番の原因である。どんなベテランであっても、今までの経験が余り通用しなければ、機体を思い通りに動かすのは極めて難しい。
皮肉な事に、ゲルググの操縦訓練に関してだけ言えば、先入観を持っていない学徒兵の方が、上手くいっているのが現状なのだ。

だが、幾ら操縦方の取得が早くても、戦場経験の無い彼らではゲルググの有用性は、上手く活用出来ないであろう。
経験豊富なベテランを、いち早く戦場に出すために・・・ガトーの行っていた稼働データのテストと言うのは、そういった意味が含まれていた。

教育型コンピュータの無いジオンの機体と言っても、稼働データをインストールする事はできる。
ガトーの様なエース級パイロットのデータを、機体にインストールする事が出来れば、操縦する際の極めて大きな補助となろう。
そう言った意味で今回の急な出撃は、ジオンにとっては好機なのかも知れない。

ー全く、苦労するのはいつも私だなー

思わず苦笑してしまう。

ーだが、私は義に寄って立っている。私の苦労だけで他の将兵が助かるのなら、喜んでその苦労を背負おうではないかー
そこまで思った時に突然警報音が鳴り響いた。間髪いれずに後続の部下、カリウス伍長からの通信が届く。

「大尉!後方より高速で接近する物体が!」

「何!?」

ー何時の間に後方に回り込まれた?ー
戦恐し、急いで戦術モニターチェックした
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