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ソロモン会戦記 
思惑
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ら良いのですか??」

若いザルツ小尉である。その声は悲鳴にも聞こえた。

「単純な話だ。こっちも数を揃える。力量が互角なら数が多い方が勝つ、簡単な計算問題だな。」

「本国に援軍を乞うのでありますか?」

「小尉。貴官の言いたい事は分かる。本国でのうのうとしてる宇宙モグラ共や、見た目が派手なだけのキシリア少将の、お飾り部隊の力を乞うなど、我らの誇りが許さないと言うのだろう。」

「はい・・・。我ら宇宙攻撃軍はジオン最強の集団であります。我らだけでもやれます。」

「我々がジオン最強の集団なのは間違いない。がしかし寡兵をもって大兵力を相手するのは愚かな事だよ。戦略の基本は、まず相手より強大な兵力を揃える事である。まあ今頃司令部でもそう言った話が出てるだろうな。」

ザルツ小尉もセロ大佐の言った戦略の基本は理解している
寡兵で大軍を破るのは、一見華麗ではある。だが相手より寡兵である時点で戦略的にはそもそも敗北なのである。
戦術的勝利よりも重要なのは戦略的勝利であり、戦術的な勝利が、必ずしも戦略的な勝利に、繋がるとは限らない事は軍人なら皆が理解しているし。過去の戦史を見ても明らだ。ただ此迄、常に最前線で闘ってきた己のプライドが許さないだけである。

だが、果たして本国はそれを理解しているのだろうか?
両者の一番の不安はそこにある

「まあとにかくだ、勝たなければ意味がない。その為に頭を下げるくらいなら安い物ではないか?」

そう勝たなければならない・・・スペースノイドの為とも言わない、祖国の為にとも言わな。、ただ軍人の職務として・・・。

援軍が必要。
そう考えたのは、無論セロ大佐だけでは無かった。
作戦指導を行うべき、司令部の高級士官、皆に共通した思いであった。

「閣下、それで本国からはなんと?」

ドズルの執務室で、問いかけたのは、宇宙軍参謀長のグリューネマン少将であった。

「参謀長それが・・・」
そう返事したのは、ドズルの高級副官を勤めるラコック大佐である。宇宙攻撃軍で、一番の頭脳の持ち主と言われ、公私において、ドズルの信頼が厚い、有能無二の男である。その男の顔色が芳しくない。

続く言葉は、グリューネマンの想像以上に、悪い知らせだった。
援軍は僅かにモビルアーマー1機。しかも先日完成したばかりの試作品。
新兵器と言えば聞こえはいい。だがその実体は、運用テストすら行っていない。

「本国は、我々を見捨てる気か・・・馬鹿な!」

「その様な言葉は、俺の勇壮なる参謀長には相応くあるまい。ただ戦うのみよ。」

ドズルは、この様な物言いを良くする。部下の使い方が、上手く、戦意の向上にも繋がる。
グリューネマンも、ドズルのこう言った所を、好ましく思っている。


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