十四話
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バイブの音は明日菜にも聞こえていたらしい。冷たさのこもる声でそう言われ、俺は逃げる様にして携帯を開いた。
「……もしもし」
「宮内さんですか? 絡繰です」
これは予想外にも程がある。大体、俺は彼女の主であるエヴァンジェリンでさえ別荘を借りているとはいえ特別親しいというわけではないのだ。それは彼女自身が俺に興味があるわけではなく、彼女のもう一人の従者、チャチャゼロが興味を持った俺に興味がわいたからなのだが……それはさておき、チャチャゼロより圧倒的にエヴァンジェリンと一緒にいる率が高い茶々丸とも、それほど親しいというわけではないのだ。
「えっと、どういった用件で?」
「? 姉さんから宮内さんを呼んで欲しいと頼まれたので」
やば、何か変な喋り方してしまった。突っ込んでこなかった茶々丸に感謝だ。それにしてもチャチャゼロが? エヴァンジェリンに別荘に来るなと言われたためしばらくは休息と自己鍛錬という案は彼女にも一応了承を得たはずなのだが…
「えっと、今すぐ?」
「はい。速く来やがれと言っていました」
あの殺戮人形が冗談などを言うとは思えない。よって、速く来いと言われた以上、本当に速くいかなければ何をされるか分かったもんじゃない。けど……
「………………」
「何よ……何かあったの?」
女性を起こらせたままいなくなるのは、男として駄目なんじゃなかろうか?
「あー、その……何だ」
「?」
「チャチャゼロに、呼び出された」
「………………」
口が堅く結ばれてしまった。どうすれば、どうすれば、どうすれば……どうすりゃいいんだよ!
「……てく」
「え?」
「私もついてくわ」
ついてくって……チャチャゼロの所にだろうか? 何をするかも、嫌大体は想像つくけど。とりあえず、本当に……
「ついてくるのか?」
「ええ。あの不気味人形が呼びだしたってことは修行に関係することでしょ? 私も、健二がどんな修行してるのか気になるし……」
んー、何だか機嫌悪いのが少し薄まったような? 正直、修行と言っても実戦形式の模擬戦で俺がチャチャゼロにひたすらボコボコにされ続ける情けないものだから、あんま見られたくないんだけど。まぁ、ここで断ってまた機嫌が悪くなってしまった方が-か。
「じゃあ、行くか」
「うん」
「ケケケ、遅ェンダヨ」
「悪い。少し街に出てたからな」
「オマケモイルミタイダシナ」
チラリとチャチャゼロに視線を向けられ、それをむすっとした顔で明日菜が見返す。まだ、機嫌は直ってないか……まあ、ここに来るまで会話も無かったし、当然と言えば当然か。
「行クゾ」
別荘を改装作業中のエヴァンジェリ
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