十二話
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にどうやって奇襲をしかけてきていたのかを忘れていた。”転移魔法”。数十……下手すれば数百kmもの距離を瞬時に移動することを可能とする魔法。センリガンの届かぬ場所から一気にここにくることも可能だ。既にフェイトの上半身が現れている。エヴァンジェリンからはネギの体が死角となり、気付いていない。しかも最悪なことに、フェイトの視線の向かう先はエヴァンジェリンではなくネギ。
(持ってくれよ、俺の体!)
――投影、開始
投影するのはギリシャの大英雄が振いし斧剣。岩を削り出して作った様なそれは、見た目の通りかなりの重量だ。俺の筋力では当然持てない。戦いの歌を使えば可能だろうが、既にそっちの魔力は空だ。ならば、魔術でそれを可能とするものを持ってくる。
――憑依経験、共感終了!
斧剣を振うために大英雄の腕、そして駆けるための足の筋力をも投影する。これで一時の間、俺のパワーとスピードはあのヘラクレスに匹敵するものとなる!
――障壁突破 ”石の槍”
地面から生えるようにして顕現した石の槍。エヴァンジェリンは気付いたようだが、ネギが邪魔で対処は間に合わない。だが、石の槍がネギを貫くより早く俺がフェイトへと到達する。
「ッらぁ!」
石の槍を根元から全て吹き飛ばす。これだけでは終わらない。フェイト、貴様は逃がさない!
――投影破棄 投影、開始!
斧剣を破棄したことでヘラクレスの筋力を投影した代償が襲いかかる。ブチブチとなにかが千切れる音が耳に響く。だが、それを気合でねじ伏せ最後の一撃を見舞う。
(勝利すべき黄金の剣!)
黄金の光を伴う斬撃を持ってフェイトへと斬りかかる。ランクAオーバーの宝具だ。いかなフェイトの障壁と言えども断ち切れる。そう思っていた。
「……え?」
だが、余りにも抵抗が無さ過ぎる。と、言うよりかは遮るものが何もなかった。
「やはり君の能力は脅威だったようだね。吸血鬼の真祖もいるみたいだし、今日の所は僕も引こう」
ああ、そうだ。奇襲してくるのは、水で作った幻像、だったんだっけ……固有結界展開時とは真逆に、内から破裂するような感覚を抑えるべく、俺は意識を失い。自分の内へと深く深く潜っていった。
自身の内に埋没し、無限の剣製の中心でその身を抱きしめうずくまる。”固有結界の暴走”……それが俺の直面している危機だった。本来なら、神によってエミヤの魔術を使いこなせるようにしてもらった俺が暴走に苦しむことはありえない。例え固有結界を発動したとしても、だ。ならば、なぜこのような状況になっているのか? それは簡単だ。
「ってぇ……」
ヘラクレスの筋力を投影した代償。筋肉のズタズタになった両足と右腕から来る痛みが、俺の集中をかき乱す。使いこなせる、
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