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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
出会いし運命の少女
運命の夜、閉幕
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 作戦を開始したあたりから、俺が言葉を発さなかったのはそのために。
 全員の緊張がピークに達するときを待ち、必殺の一撃が撃たれた直後にこそ付け入る隙が生まれる。

 剣道などでも同じで、試合開始から決着の一撃を放つ瞬間までは集中力は高まり続けるが、それが終わった瞬間にこそその集中は解ける。

 どれほどの武人であろうと、一刹那たりとも集中が解けることのない者などいないのだ。

「セイバーはどうでもいいけど……アーチャーとフェンサーには興味が湧いたわ。今はまだ生かしておいてあげる」
「なに……? おまえ、自分の状況がわかって────」

 言おうとしたそのときだった。

「■■■■■■■■■────!!!!」
「え、いぃっ!?」

 言葉ですらない狂える雄叫びと共に、絶命したはずのバーサーカーが蘇生した。
 こっちも言葉にならない悲鳴を上げ、思わず準備していた魔術を解いてしまう。

 それを武器を収める意味合いと取ったのか、イリヤスフィールは軽くお辞儀をした。

「今夜は踊って下さってありがとうございます。それでは、またお会いしましょう」

 その姿に面食らった俺は、戦闘意識を完全に喪失した。

 バーサーカーが霊体化し、消える。

 墓地で未だ燃えている大気。

 火が空気を燃焼させる影響か────強い一陣の風が吹いた。

「きゃっ……」
「おっと」

 風で飛んできた帽子をキャッチする。
 白い少女とお互いに見合ったまま固まってしまう。



 なんだろう。記憶にある誰かと、同じ印象を感じ受けた。

 容姿が似ているからか? それとも魔力の波長が似ているからか?

 何が似ているのかも判断できないまま、俺は少女を見つめていた。



 ふと我に返り、帽子を盗むわけにもいかないので、彼女の頭に被せる。

「失礼しますよ……っと。もう少し深くかぶったほうがいいぞ」
「う、うん……」

 戸惑う少女の姿。

 当然だろう。
 平気な振りをしているがこちらもかなり戸惑っている。

 つい先ほどまで敵同士だったにもかかわらず、なにゆえにその敵の少女とこんなやり取りをしているのか。

「……それでは、ごきげんよう」

 俺の隣を素通りし、少女は夜の闇へと姿を消した。















 本当に長かった運命の夜は、ようやく終幕を迎えたのだった。

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