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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
出会いし運命の少女
運命の夜、閉幕
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け出した。
 
 そんな士郎の姿に俺自身も眩暈を覚え、呆れるも次の瞬間。

(……っ!? フェンサー、下がれ!!!)
(えっ!? り、了解マスター!!)

 フェンサーをその場から離脱させる。
 
 この不吉な予感は間違っていない。
 士郎も手段こそおかしいが、己のサーヴァントを避難させようというその指示は的確以外の何物でもない。

 眼球を強化し、視覚を絞り拡大してから遠方を睨む。

 そこには凡そ数百m先の高台から、こちらに存在する敵を射抜こうとするアーチャーの姿。

 歪む口元。不敵に嗤う眼。
 引き絞られた弓は、敵の存在を撃ち貫くために限界まで撓りをあげる。

 そう、確かにアーチャーは。
 こちらに存在する敵全て(・・・)に攻撃を仕掛けようとしていた。

 “矢”が、放たれる──────

 今まで一度も通じなかったアーチャーの矢。
 今さらそんなものなど、と視線をその矢へと向けたバーサーカーは、その狂ったままの理性で己の死を理解した。

 体勢を崩し、概念を付加された大魔術を受け、防ぐことも躱すこともままならない。



 そうして────全ての音が消し飛んだ。



 凛はもとよりフェンサーも踏み止まる姿勢を取り、セイバーは士郎が庇い伏せている。

 聴覚を侵犯する音の奔流。
 大気が爆発したかのような衝撃、その衝熱と烈風を感じながら、閃光が収まるのを待った。

 墓地を大炎上させ、地にクレーターを穿つほどの破壊を巻き起こしたアーチャー。
 その中心地に立つバーサーカーは、胴体の左半分を吹き飛ばされ、確実に絶命していた。

 あらゆる防御の概念を貫通させる概念魔術をその身に受けた後、Aランクに匹敵する宝具の一撃を受けたのだ。

 かのバーサーカーといえど、無事に済むはずがなかった。

「へえ……バーサーカーを殺すなんて。やるじゃない、貴方たちのサーヴァント」

 少女は面白い玩具を見つけた子供のように、無邪気な笑みを浮かべながら呟く。
 己のサーヴァントが死んだことになど目もくれず、気にもせず、ただそれを成し得た相手のサーヴァントとマスターを褒め称えていた。

 そして、その背後に。

詰み(チェック)だ」

 共振させた魔力を漲らせ、魔術を発動寸前にした腕を翳しながら、俺はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンに勝利宣言をしていた。

「……あら、気付かなかったわ」
「え、黎慈、いつの間に!?」

 誰にも気付かせることなく、俺はイリヤスフィールの背後を取っていた。
 戦況を俯瞰していた凛やイリヤスフィールですら気付くことがなかったのだから、この場に俺が隠密行動をしていたことを知る者は、フェンサーしかいないだろう
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