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八条学園騒動記
第十話 推理漫画その二
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「それで主人公よね」
「ええ」
「やっぱ理知的にいきたいのよ」
 アンは言う。
「頭が鋭くてクールに」
「クールなのね」
「ええ。誰かいいのはいないかしら」
 珍しく困った顔でアンは述べた。
「そういうタイプが」
「男にするの?」
 ルビーの問いはアンにとって意外なものであった。
「えっ!?」
 思わず声を漏らす。そこにルビーはさらに尋ねてきた。
「だから。男にするの?女にするの?」
「それは」
「考えてなかったの?」
「ええ。どうしようかしら」
 アンは困った顔に戻ってそう返した。
「そこまで考えてなかったわ」
「そうなの」
「困ったわね、それもどうしようかしら」
 腕を組んで考えはじめた。
「そこのところも」
「女の子にするのならいいモデルがいるわよ」
「ウェンディ」
 ここでウェンディが話に入ってきた。
「誰、それ」
「よかったら教えて」
「身近にいるわよ」
 それがウェンディの言葉だった。
「身近に!?」
「誰なの、それって」
 アンもルビーもウェンディのその言葉に顔を向けてきた。
「ジュリアよ」
「ジュリア!?ああ、成程ね」
 アンはその名前を聞いて満足そうに頷いた。
「彼女なのね」
「ええ」
「そうね、あの娘ならいいわ」
「そうね、ジュリアなら」
「呼んだ?」
 二人は納得した様に頷き合っているところに本人がやって来た。褐色の肌にプラチナブロンドのロングヘアーにエメラルドの瞳、抜群のプロポーションをした女の子だった。プリーツの赤いミニに白いソックス、ブイネックの黒いセーターの下は白いカッターである。
 彼女がそのジュリア=クラフトンである。イロコイの女の子でネイティブアメリカンの血がまだ残っている。
「私のこと言ってるみたいだけれど」
「あら、噂をすれば」
「速いわね」
「何となく呼ばれた気がしたから」
 アンとルビーにそう返す。
「教室に戻って来たのよ」
「そう、相変わらず勘がいいわね」
 アンはそれを聞いて言った。
「流石って言うべきかしら」
 実はジュリアはかなり勘がいいことで知られている。そのせいでニュータイプとか呼ばれることもある。これもイロコイの血のせいなのかどうかはわからない。
「で、何か用なの?」 
 ジュリアはあらためて尋ねた。
「私に」
「ええ、実はあるのよ」
 アンが言った。
「今度探偵もの描くのだけれどね」
「漫画ね」
「そうなの。それの主人公にどうかなあって」
「私が漫画の主人公に!?」
 それを聞いて驚きの声をあげた。
「私なんかでいいの!?」
「ええ、よかったら」
 アンはまた言った。
「どうかしら。主人公の女探偵で」
「うん、いいよ」 
 ジュリアは笑顔でそれに頷いた。
「よ
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