第44話
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下全体に広がっている感じだ。
パラパラと、天井から粉塵のようなものが落ちてくると蛍光灯が二、三度ちらついたと思った途端にいきなり全ての証明が同時に消えた。
数秒遅れて非常灯の赤い光が薄暗く周囲を照らし始める。
それまでのんびりと避難していた人の波が一気にパニックを起こす。
すると、予定よりも早く警備員が隔壁を下ろし始めた。
隔壁が完全に下ろされ逃げ損ねた学生達は混乱したまま分厚い鋼鉄の壁をドンドンと叩いている。
閉じ込められた、と上条は思った。
敵はこの展開を予想していたのだ、目玉の泥を使い建物の構造や人の流れまで把握していたのだ。
「さあ、パーティを始めましょう。」
潰れた泥から女の声が聞こえた。
すでに壊れた「眼球」の最後の断末魔、ひび割れたスピーカーを動かすように。
「土に被った泥臭え墓穴の中で、存分に鳴きやがれ。」
さらに一度、一際大きな震動が地下街を揺らした。
同時刻。
麻生は愛穂と別れてからやっぱり心配になり地下街に向かって走っていた。
相手は魔術師。
上条のような右手や美琴のような超能力者や火織のような聖人などがついていれば、心配する必要はなかったが(最初の上条がいてもそれはそれで心配)警備員だけでは荷が重い筈だ。
愛穂を追いかけたが車に乗ったのか既に姿はなかった。
地下街という情報を頼りにとりあえず一番近い地下街に向かって走っていた。
すると、地下街の出入り口に大きな人だかりが出来ていた。
麻生は近くにいる学生に何が起こっているのか聞く。
「おい、何が起こったんだ?」
「何でもこの地下街にテロリストが紛れ込んでいるらしいぜ。
んで、警備員が予定よりも早く隔壁を下ろしたんだとよ。
まだ逃げ遅れた人がいるのにな。」
どうやら此処で間違いない、と麻生は考えた。
麻生は考える暇のなく野次馬の中をかき分けていく。
すると目の前に警備員が野次馬を近づけないように盾なので進行を防いでいる。
警備員が野次馬に気を取られている内に麻生は警備員の壁を突破する。
「おい!!そこのお前!!」
麻生が警備員の壁を突破したのを別の警備員が気づく。
「そこの学生を捕えろ!!」
すると盾を持った警備員が三人麻生の目の前に立ちはだかる。
麻生は迫ってくる先頭の警備員の目の前でジャンプして、後ろの二人の警備員の頭を飛び越える。
その光景に周りの警備員は驚き、野次馬も麻生のジャンプに釘付けになっている。
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