第44話
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たが、出口には警備員が四、五人固まっていた。
上条は何かやばい、と思った。
それはインデックスの事だ。
インデックスは一応ゲストIDを持ってはいるが、身元を調べられると捕まる可能性がある。
しかも、テロリストが紛れているこの状況なら、不審な人物はすべて調べ上げられるだろう。
上条は少し考えるがテロリストと銃撃戦に巻き込まれるよりかは、まだ検問の方がマシと考えて出口に向かおうとした時だった。
「見ぃつっけた。」
突然、女の声が聞こえた。
ただし何もない筈の壁から聞こえた。
上条は視線を壁に向けると硬直する。
そこには掌サイズの茶色い泥がへばりつきその中央に人間の眼球が沈んでいた。
上条と風斬はその目玉を見て驚いているがインデックスだけでは冷静にその目玉を眺めている。
「うふ、うふふ、うふうふうふふ。
禁書目録に幻想殺しに虚数学区の鍵。
どれがいいかしら、どれでもいいのかしら。
くふふ、迷っちゃう。
よりどりみどりで困っちゃうわぁ。」
泥の表面がさざ波のように細かく揺れ、その振動が「声」を作り出す。
その女の声は妖艶だがどこか錆びついていた。
「ま、全部ぶっ殺しちまえば手っ取り早えか。」
酒場でも聞かれないような粗暴な声色へと切り替わる。
上条はこの奇妙な泥が超能力によるものか、魔術によるものか判断がつかない
だが、インデックスは違った。
「土より出でる人の虚像、そのカバラ術式、アレンジの仕方がウチと良く似ているね。
ユダヤの守護者たるゴーレムを無理矢理に英国の守護天使に置き換えている辺りなんか、特に。」
「ゴーレムって、この目玉が?」
「神は土から人を創り出した、っていう伝承があるの。
ゴーレムはそれの亜種でこの魔術師は探索・監視用に眼球部分のみを特化させた泥人形だと思う。」
インデックスは上条の疑問に目玉に視線を向けたまま答える。
上条はその理屈は分からないがようはラジコンのように誰かが操っているのだと独自に理解する。
「って事は・・・この魔術師がテロリストさんって訳か。」
上条がそう言うと泥は笑った。
「うふ、テロリスト?テロリスト!うふふ。
テロリストっていうのは、こういう真似をする人達を指すのかしら?」
ばしゃ、と音を立てて泥と眼球は弾けて壁の中に溶けて消えた。
その瞬間だった。
ガゴン!!と地下街全体が大きく揺れた。
「なん・・・っ!?」
まるで嵐に放り出された小船のような震動に上条は思わずよろめき、インデックスも転びそうになるが風斬の腕の中にすっぽりと収まる。
さらにもう一度、砲弾が直撃したような揺れが地下街を襲う。
爆心地は遠いが、その余波が一瞬で地
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