第七話 音楽は一つにあらずその四
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「そう」
「男の下着なんて洗ったトランクスを適当に・・・・・・って何言わせるんだよ」
「自分で言ってるじゃない」
靴下を脱ぎ終えたダイアナが冷たい横目で見ながら突っ込みを入れる。
「それはそうとしてね」
「ああ」
「ほら、脱いだわよ」
そう言って自分の足を見せる。
「ある?水虫」
「いや、全然」
見れば白くて奇麗な足だった。汚れ一つない。おまけに足の爪には紅いマニキュアがしてあった。それが実によく目立っていた。
「ないでしょ。これでいいわよね」
「ああ、悪いな」
「まあ靴下脱ぐ位ならいいけれどね」
そう言いながら靴下を履く。だがここでルビーが言った。
「ところでダイアナ」
「何?」
「何で足の指の爪にマニキュアを?」
彼女もそれが気になったのである。
「普通手にするものじゃないの?まあ足にもするけれど」
「手は駄目なのよ、あたしの場合」
「あっ、そうね」
言われてすぐ気付く。納得したように頷く。
「だからか」
「そういうこと。ルチアもでしょ?」
「まあな」
ルチアもこれはわかった。
「爪はな、伸ばしてるとやりにくいからな」
「ギターに爪は不要なのよ」
ダイアナは誇らしげに述べる。
「まあマニキュアは時々塗るけれど絶対に伸ばすことはないわ」
「危ないしね」
「邪魔になるし。これでも手入れしてるのよ」
「爪切ってか」
「違うわ」
だがそれは違っていた。ルチアの言葉に軽く返す。
「えっ、じゃあどうやって」
「やすりで削るのよ、爪は」
右の人差し指をチッチッチッとやって振る。
「それで整えるの」
「そうなのか」
「それが女の嗜みってやつよ。覚えておいて」
「そうだっけ?」
「初耳よね」
だがルビーとウェンディの反応は違っていた。
「普通に爪切ってるよね」
「ええ」
二人は顔を見合わせて頷き合う。
「あれっ、あんた達は違うの!?」
これにはかえってダイアナが面食らっていた。その整った目をパチクリとさせている。
「普通に切ったら爪が傷むじゃない」
「だってそんなの大したことはないし」
「同感」
「うう、これでもあたし気をつけてるんだけれどな」
二人が結構無頓着なので彼女は少しいじけた顔になってしまった。
「皆そうでもないなんて」
「けれどギターで爪傷むんじゃ?」
「だから余計に気をつけてるのよ」
ダイアナはルビーにそう反論する。
「ほら、それに」
「それに!?」
「彼氏にも見せられないじゃない、傷んだ爪なんて。そうでしょ?」
「私彼氏いないし」
ルビーの返事はダイアナにとっては脱力感をもよおさせるのに充分なものであった。
「そこまでは気にしていないわよ」
「あっ、そうなの」
それを言われてはおしまいであ
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