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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
出会いし運命の少女
手にする資格 ─イレギュラー─
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で切り込みを入れる。
 まずこれを聞いただけで、想像力豊かな人は手が痛くなってくるだろう。

 これまでの聖杯戦争で使われなかった令呪は回収されているらしく、次はその残っている令呪の形に沿って聖痕を刻む。
 ワンセットの令呪なら形も決まっているのでそこまでではなかったのかもしれない。だがこの神父さん、何の嫌がらせか三種類の令呪から一画ずつ持ってきて、適当に組み合わせた型に俺の手を彫りやがった。

 上手く想像できないなら、手に彫刻刀で図形を描くようなもんと思えばいい。

 てか何に一番文句言いたいかって、痛みを制御するのに必死で見ていなかったが、手術中の痛みを堪える俺を見て絶対にこの神父さん笑ってやがりました。

 人の不幸は蜜の味? 限度があるだろ。鬼か、悪魔か、言峰か。

「しばらくは痛むだろうが、馴染めばそれもじきに治まる。喜ばしいことではないか、令呪はおまえをマスターだと認めたらしい」
「…………そうですか」

 右手に光る魔術刻印。

 過去の代表的な英霊三騎、セイバー、アーチャー、ランサーのモノを一画ずつ刻まれた令呪が、俺の右手で赤い光を湛えていた。

「それではこれで、正式に聖杯戦争の始まりだ。今後、この教会に足を運ぶことは許されない。許されるとしたらそれは────」
「敗北し自らのサーヴァントを失ったときのみ。それ以外にここを頼ることがあれば、マスターとして減点対象ってことだな」

 聖杯戦争中、この教会の役割は敗北したマスターを保護することのみ。

 不測の事態が起こった際にも監督役が居るこの場所は頼みになるが、それをしたマスターは聖杯に相応しいかどうかの採点でマイナス点を受けるということだ。

「一応礼は言っておくよ。世話になったな、神父さん。次に会うときは俺が勝ち残った時か、死体になったときだな」

 暗に、何があろうとおまえなんか頼んねぇぞという意思表示。

 その啖呵と別れの言葉だけ告げて、俺は教会を跡にした。





(これで俺は、正式におまえのマスターだ。よろしくな、フェンサー)
(ええ、よろしく)

 ラインでの精神感応による呼びかけ。

 士郎とは違い、信頼を明確な形(あくしゅ)で示す必要もない。
 令呪もなしに俺をマスターと認めてくれていた彼女を俺は信頼しているし、彼女の方も今さら信頼を揺らがせることはないだろう。

 広場へと歩を進めながら、徐々に見えてきた人影に目を向ける。

 士郎、凛、セイバーだ。

 一時間以上は掛かったはずだが、わざわざ待っていてくれたのか。
 今日という日が終われば敵同士であるというのに、律儀なことだ。

「黎慈、移植は上手くいったのか?」
「当然だろ」

 右手の甲を見せながら答え
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