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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
出会いし運命の少女
手にする資格 ─イレギュラー─
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争についての説明は不要かな?」
「ああ、おおよそはもう理解してるつもりだ」

 俺は会話から相手の好みや性格、心的距離感(パーソナルスペース)を把握して、不快に思われず、されど他人よりも深い部分に潜り込む。
 そうすることであらゆる人間との対人関係を円滑にし、自身の生活に不測の事態が起きないように上手いこと生きてきた。

 そのために会話していればしているほど、こちらの裡を暴かれるような気分にさせられるこの人とは、文字通り相性が悪いのだろう。

「それで。彼女が八騎目のサーヴァントかね」
「そういうこと。聖杯戦争の監督役として、この状況をどう判断するのかしら」
「ふむ。マスター不在の八騎目のサーヴァントか。これは過去にも例がないな」

 その発言はわざとなのか。

 こうしてここに俺が居ることの意味と、フェンサーが俺をマスターと見なしていることは凛から聞いているはずだろうに。
 それとも聖杯戦争の監督としては、令呪を持たない俺をマスターと認めることは出来ないということを暗に示しているのか?

「黒守よ。二、三尋ねたい。彼女、フェンサーは君が召喚した。それは間違いないか」
「ああ。召喚しようとしてしたわけじゃないが、俺はフェンサーが召喚されるのを見ていたし、実際に彼女とのパスも形成されている」
「それではもう一つ。フェンサーを召喚した場所は?」
「新都郊外から少し離れた場所にある、荒地のままになってる公園だよ。十年前に、大火災があったあの公園だ」
「────────」

 その場所が、彼にとってそういう意味を持つ場所だったのか。

 少しの驚きと愉悦を噛み締めたような表情を浮かべながら、言峰綺礼は俺の言った事を反芻していた。

「それではフェンサー。おまえの主は黒守黎慈……それで良いか?」
「どういう意味かしら?」
「パスが形成されているのなら契約関係は本物だろう。しかし、おまえとの令呪を持つマスターが他にいる可能性もある」

 ……なるほど。それは盲点だった。

 呼び出しや召喚自体は俺を経由してやったように見せて、本当のマスターとサーヴァントの関係を持つ魔術師は他にいるという説。
 そうなるとあの黒いサーヴァントもグルだった可能性もあるし、聖杯戦争において自身の存在を偽装できるならそれは優れた手段だろう。

 実際にそんなことが出来るのかはわからないが、中々面白い着眼点だと思う。

 その言葉に、最も強く反論したのは他ならぬフェンサーだった。

「私のマスターは後にも先にもレイジだけよ。他にマスターがいたのならそんな契約は破棄してあげるし、必要ならそのマスターを私が殺すわ」
「ク……そうかそうか」

 この神父さんは何が面白いんだろう。

 彼なりに考えた結果であろ
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