中層プレイヤーのアイドル
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と軽く叩いてやる。
「おっと、すまん。知り合いによくやってたことだからつい・・・」
「いえ・・・」
あー、やっぱり染み付いた動作って抜けないものなんだよな。気持ちが落ち着いたのか、シリカも笑顔に戻った。
しばらく歩いていると、《風見鶏亭》と名のついている宿屋に着いた。多分シリカが泊まっている宿なのだろう。
「あ、レイトさん。ホームはどこに・・・」
「大体いつもは50層のアルゲード。まあ、今日はここにするか」
「そうですか!」
シリカがうれしそうに笑う。うん、女の子は笑っているのが一番だ。注意しておくが、ロリコンではない!!
「ここのチーズケーキが結構いけるんですよ」
「へぇ、後で詳しく教えてくれ。ここに寄った目的もそんな感じだからな」
ケーキの話題で盛り上がりながらシリカが俺を引っ張る様な形で宿に近づくと、宿の隣にある道具屋から、五、六人の集団がぞろぞろと出て来た。その最後尾に居た女が、こちらに気づくと、シリカが顔を伏せる。知り合いか?と思いもう一度見ると、あちらの方から声をかけてきた。
「あら、シリカじゃない」
声をかけられ、無視するのもなんなので立ち止まる。
見た瞬間、シリカが顔を伏せたことから2人の関係は余りいいものではないのだろう。ああ、さっき話してくれた口論ってコイツが原因か?
「・・・どうも」
「へぇーえ、森から脱出できたんだ。よかったわね」
名前はロザリア。彼女はは口の端を歪める様な、皮肉げな笑い方をしながら話を続ける。
「でも、今更帰ってきても遅いわよ。ついさっきアイテムの分配は終わっちゃったわ」
「要らないって言ったはずです! ──急ぎますから」
シリカは早く話を切り上げたいのだろうが、彼女はそれを許さないようだ。シリカの肩を見て、また同じ笑みを浮かべる。
「あら?あのトカゲ、どうしちゃったの?」
シリカの使い魔、ピナのことだろう。この世界で使い魔がテイマーの近くに居ないことはそうそうない。というかシリカから話を聞いていると、結構大切にしていたらしいので離れさせるようなことなどしないだろう。つまり、死んでしまったことを知っていてわざと言っている、と。
面倒くさいなぁ・・俺にとってはさっきのチーズケーキの方がよっぽど興味があるんだが。
「あらら、もしかしてぇ・・・?」
「死にました・・・。でも!」
シリカがロザリアをにらみつける。
「ピナは、絶対に生き返らせます!」
そう断言した彼女の瞳には強い意思がこもっていた。これなら精神的にも大丈夫だろう。うんうん、もうちょいシリカは自分の意思を主張したほうがいい。
「へぇ、てことは《思い出の丘》に行く気なんだ。でも、あんたのレベルで攻略で
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ