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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第十三話
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突っ込めェッ!!」
『ウワアァァァァァァーーーッ!!!』
九九式短小銃に銃剣を着剣した兵士達が雄叫びを上げて突撃をする。更に一木大佐は士気を上げるために突撃ラッパを吹かせている。
九七式中戦車が短砲身の五七ミリ戦車砲を発射して盗賊を吹き飛ばす。
「ヒイィッ!!」
砲弾の攻撃で腰が抜けたのか地面にへばりつきながら逃げようとする盗賊もいたが、それらは追いついた歩兵第二八連隊の兵士が突いた銃剣が盗賊の喉を突き刺して絶命させた。
「くそォッ!!」
一人の馬に乗った盗賊が剣を構えて九七式中戦車に斬りかかった。しかし、二五ミリの装甲が剣を貫く事は出来ずハッチを開いて出てきた戦車長が十四年式拳銃で撃って仕留めた。
第一戦車連隊と歩兵第二八連隊の参戦で盗賊達は完全に戦意を失って次々と剣や槍、楯を捨てて両手をあげて降伏の意思を表したのであった。
その光景を樹達は見ながら安堵の息を吐いた。
「……何とか間に合いましたね」
「あぁ、予想通りに盗賊が第一戦車連隊と歩兵第二八連隊に蹂躙されたな」
ふと、樹は何も動かないロゥリィを見た。桜色の唇をニィと歪めてその隙間から鋭い犬歯を覗かせて視線はある方向を見ていた。
ロゥリィを支えるために腰を掴んで攻撃隊から逃げていた樹だったが、いつの間にかロゥリィを持っていたため腰からロゥリィの胸に手が移動していた。
樹の右手はロゥリィの左胸を押さえ込んでいたのだ。(言わばお姫様抱っこ)
「………」
その事に漸くながら気付いた樹は顔を青ざめながらロゥリィを降ろした。そして地面に脚がついたロゥリィがまずする事は樹の顔を殴る事であった。
「ぷぎゃッ!?」
樹はそんな声をあげて地面に倒れ、伊丹達はそんな樹に無言で敬礼をするのであった。
一方、ピニャとハミルトンは第一戦車部隊と一木支隊の戦闘に終始呆然と見ていた。それは戦闘が終わり、傍らにいたグレイから声をかけてもらうまで呆然としていた。
「……何なんだ今の戦闘は……」
「「………」」
漸くピニャの口から開いた言葉にハミルトンとグレイは何も言えなかった。
「ですが姫様、これでイタリカの戦闘は終わりました」
「そうであろう。……問題はこの後だ」
奴等は一体何を要求してくる?
もしイタリカを攻めるなら彼女では到底太刀打ち出来ない。全てはあの火を吹く鉄の軍馬や火を吹く杖(戦車砲や軽機関銃)等によって帝国軍の兵士達はミンチに変えられるだろう。
あのような魔法を使われイタリカを占領したらあっという間に彼女はおろか、ハミルトンやミュイ達は首を鎖で繋がれて奴隷にされてしまうかもしれない。
「……どうしたものか……」
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