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IS インフィニット・ストラトス〜転生者の想いは復讐とともに…………〜
number-8 ture thougth
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の先生と寮長である千冬に会わなければ大丈夫なはずである。


軽い自己紹介から始まって、鈴はずっと一夏のことを麗矢に聞く。
麗矢はそれに辟易としながら答えていくが……時折見せる無理して笑っている鈴の表情がつらく儚く見えた。


麗矢は隣に座っている鈴の顔を見ることはせずに一旦鈴の話を切り、聞いた。


「……お前は…………鈴は、本当にあいつのことが好きなのか?」


途端、鈴の肩が跳ねるように動くも、何とか自分で落ち着かせて麗矢を見ることなく、鈴は答える。


「……それは……それは…………分からなくなっちゃった。」


一年会わなかっただけで、あんなに人は変わってしまうのか。
鈴は言う。


「あたしが好きだった一夏じゃなかった。もう違っていた。もう、全然違う一夏に……」


力なく笑うが、その眼には涙が溜まっていた。
人とは変わるものである。人とはそういうものだ。


隣で肩を震わせ、静かに泣く。
顔をぐしゃぐしゃにして、目元を赤くはらして泣く。
麗矢はポケットからハンカチを出した。


「……ほら。これ使え。」


ハンカチを受け取り、涙を拭きながら泣き続ける。
麗矢は鈴の顔を見ることはせずに、立ち去る。
鈴に気付かれないようにしたが――――鈴は気付いていた。


「……どうして、あんな態度取るのよ。」


一夏のことしか聞かないあたしにうんざりしつつも、顔に出すことなく静かに聞いてくれた。
その癖に、人の核心をついてきて……そのせいで本音を打ち明けることに。
一夏みたいな優しさは感じなかったけど、守ってくれる安心感があった。
紳士みたいな態度を取って……


「……男って――――」


――――本当バカよね。


鈴は笑っていた。心の憑き物が取れたような清々しさで。


      ◯


「いつからいた?」
「ほとんど最初からだ。まったく、意外だった。」
「それはそれは趣味の悪いことで。」


階段の踊り場で千冬が先ほどの会話を聞いていた。
出てこようとせず、そのまま聞いているなんて。


いざとなったら出ていこうとしていたさ、と言っているが、どうにも信用できなかった。


「……すまなかったな。」
「そう思うんなら、あいつをどうにかしてくれ。」


それは無理な話だと言いつつ、二人は笑う。
あいつの鈍感さは筋金入りである。もはやどうしようにもできない。
それが分かっているから二人は笑う。


これを知ったら、あいつは拗ねてしまいそうだが。


「では、さっさと戻れよ、今日だけはお前も其処で泣いている奴も許してやる。……弟が迷惑かけたな。」
「ええ、では。」


そう
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