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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
出会いし運命の少女
マスター、サーヴァント、そして聖杯戦争
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おう。
コイツ、マジか。
「なに。じゃあ貴方、素人?」
「そんなことないぞ。一応、強化の魔術ぐらいは使える」
素直すぎる回答に思わず涙が出そうになる……が。
「わかった。わかったからそれ以上墓穴掘る前にやめるんだ士郎」
「え?」
「………………」
「あ」
ようやく気付いたのだろう。
遠坂凛が衛宮士郎を見る目の冷たさに。
別段見下しているということではなく、呆れ返り果てたという意味で。
「────はあ。なんだってこんなヤツにセイバーが呼び出されるのよ、まったく」
「む」
不満そうに口を噤む。
そりゃ士郎だって今まで遊んできたわけじゃないだろうし、魔術師として凄く、ものすごーく未熟だとしても、それとこれとは話が別だ。
とは言っても、魔術師人生エリートコースまっしぐらな凛からすれば、珍生物でも見たような心境だろう。
「あ、はい質問。そのセイバーとかアーチャーとかって、サーヴァントの名称……なのか?」
「そうね。そのあたりも踏まえて話しましょうか」
凛が腰を下ろす。
そうしてやっと始まる状況説明。
ここまで来るのに紆余曲折、さらに山あり谷ありだったが、ようやく今自身が置かれている状態を把握できる。
「まず。貴方たち、自分がどんな立場にあるかわかってないでしょ」
「「──────」」
コクン、と同時に頷く。
「率直に言うと、貴方たちはマスターに選ばれたの。衛宮くんは左手に聖痕があるでしょ。黎慈にはないみたいだけど、一応はそれがマスターである証」
「マスターの証がないんだったら、俺がマスターだって証明できないんじゃないのか?」
「普通はそうね。でも貴方のサーヴァントが貴方をマスターとみなしているなら、貴方はマスターであるはずよ。
……そうか、聞いておかなきゃね。黎慈、貴方のサーヴァントはいつ召喚した何のクラスのサーヴァント?」
「え、っと……ついさっき召喚した、謎のサーヴァントです」
「────何ですって?」
うわ怖っ。
いや、だってロクに会話してねぇし情報交換してねぇし、そういや名前さえ聞いてねぇよ。
この銀の少女について解ってることと言えば、俺と契約関係にあって、不可視の武装(たぶん剣?)を持ってる、てことぐらいだ。
ああ、本人に聞けば早いんじゃないのか?
「なあ、おまえ何のクラス?」
「さあね。セイバーでもアーチャーでもランサーでも、好きに呼んでくれて構わないわ」
「いや、その三人は既にいらっしゃるらしいんで…………わかった。仮にフェンサー、ってことにしとこう」
「違うわ黎慈、問題はそこじゃない。この聖杯戦争で呼び出されるサーヴァントは七騎のはずなの」
「はい?」
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