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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
出会いし運命の少女
マスター、サーヴァント、そして聖杯戦争
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うとしている。それくらいだ」
「それを、信じろとでも?」
「……ちょっと、いいかしら?」
平行線を辿る俺と凛の話に、銀の少女が割って入る。
二人のサーヴァントに対する警戒はそのままに、目線だけをこちらに向ける。
まさかの助け舟である。
「マスターが言っていることは本当よ。私は私自身の役割を理解しているけど、彼は何故私が、私達が呼ばれたのかなんてわかっていない」
「聖杯戦争を知っていて、自主的に参加したわけじゃないってこと?」
「ええ、召喚された経緯から考えてもそう。そして彼は令呪も持ってない。現に今の私は契約関係にはあっても、令呪に縛られてはいないもの」
「え……!?」
驚愕は何に対してか。
彼女が言い放ったことに対して驚いたのは凛だけでなく、二人のサーヴァントもだ。
全体の反応を見るに、現状では俺と士郎だけが置いてけぼりを食らっているらしい。
「黎慈。貴方、令呪がないって本当なの?」
「いや、だからそもそも令呪が何なのか知らなくてだな……」
「これ」
凛が袖を少したくし上げ、手の甲をこちらに見せる。
そこには薄ぼんやりと、赤い刻印が光を湛えていた。
合計して三画の魔術刻印。
「衛宮くん、貴方も令呪はあるでしょう。出して見せて」
「え?」
突然話を振られた士郎が、思わず両手を確認する。
左手の甲に、剣を模したような刻印が光っていた。
なるほど。その令呪が何かしらの証になっているわけか。
先ほどの令呪に縛られるという言葉から推測すると、あれは魔術師がサーヴァントを律するためのもので、そのままマスターの証であるのだろう。
……! 屋上で凛が俺に上着脱いで袖捲れって言ってたのはそういうことか!
ああ、ようやく頭が回ってきたぞ!
「これが令呪。聖杯戦争に参加したマスターに与えられる、サーヴァントに対する絶対命令権」
「ふむ。凛の刻印の一画が光っていないのは、何か意味があるのか?」
「それは…………いいわ、何かもう腹立ってきたし。アーチャー、しばらく霊体になっててもらえる?」
「私は構わないが。君はどういうつもりなのかね」
「この何もわかってないバカ二人に、現状を思い知らせてあげるのよ。
それまで貴方の出番はないから消えていて。いつまでも膠着状態でにらめっこしてても仕方ないでしょ」
「それはそうだが……難儀なものだな。一つ忠告すると、君は余分なことをしようとしているぞ」
そう言ってアーチャーと呼ばれた男は陽炎のように消え去った。
今ので少しだが理解した。
サーヴァントはそういう存在なのか。
マスターの命令を聞いて霊体化したのは、この場は主命に従い武器を収めるという意思表示。
となると、
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