§23 叢雲古老恵那委員会、あとしまつ
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が飛散しこっちまで降ってくるがそんなもの、黎斗の目には入らない。運悪く飛んできた破片が黎斗の腹部を貫通するが、それすらも黎斗の中では些事といえる。瞬時に再生される内臓より、修復が絶望的な目の前の惨状の方に気を取られるのはしょうがないだろう。
「ごぉおおおどぉおおおおお……!!」
怨嗟の怒鳴り声が周囲に響き渡る。もちろん発生源は黎斗一人だ。
「僕がっ、一体っ、何っ、の為にっ……!!」
ここでの破壊は黎斗が一番して欲しくなかった出来事だ。まさか、それをピンポイントでしでかしてくるとは。これでは身体を張ってまで時間を稼いだ意味が全くない。山羊なり駱駝なり牡牛なりで潰してくれればよかったのに。
「スサノオ引き摺り出して始末させるべきだった……」
後悔するが、それはもう後の祭りというほかない。術者たちへの警戒を今まで以上に気を配る必要があるだろう。しばらくマモンでの資金調達は玻璃の媛経由にしたほうが良さそうだ。術者にこれ以上この街に入り浸れたら換金先の宝石店から足がつきかねない。
「あー、最悪だ……」
力無く項垂れる黎斗。だが落ち込んでばかりはいられない。須佐之男命達と合流し情報の共有を急がねば。そう思ったのだが。
「やーっとれーとさん見つけたー。もう、間抜けな声と一緒に飛んでかないでよ」
気楽な声と共に恵那が隣へ着地した。後ろを見れば護堂達の姿も見える。恵那が先行してきている形で護堂と裕理はゆっくり向かってきているようだ。裕理に肩を借りながら歩いてくくらいなら護堂までやってこなくてよいのに、と思ってしまう。無理せず休むべきだろうに。
「マスター、派手に飛びましたね。人間ロケットになれるんじゃないですか?」
恵那の巫女服からエルが顔を出す。どうやら黎斗がエルを置いて巨人へ向かった後、恵那の袖の中に潜んでいたらしい。
「なりたくてなったわけじゃないっての」
肩を竦めて返事をする。ふと、護堂達を見やればエリカとリリアナまで加わっている。これは面倒くさいことになりそうだ。ここで時間をとられるわけにはいかないのだが。
「しょーがない、か。……もっしー、スサノオ? ごめん、全部消したよ。やられ役ズは残そうかと思ったんだけど、つい、カッとなっちゃって」
やむを得ず、電話で須佐之男命と会話する。エリカと裕理は思考自体を汚染しているから問題無いがリリアナは別だ。リリアナと正史編纂委員会に突っ込まれたら最悪朝まで帰れない。須佐之男命にそれまで無連絡は流石に拙いだろう。
「うん……うん……そっかー、よかったよかった。三人とも友人はそんなに居ないのか。あ、そうそう鏡、こっちで回収したよ。後で返すわ。他にもなんかいっぱい転がってたのもいらんから返すー
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