暁 〜小説投稿サイト〜
魔王の友を持つ魔王
§22 染井吉野が鳴く頃に
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
気を取られていると背後からエルが肩に乗る。この場所を見つけるとは、獣の勘恐るべし。

「……ムラクモの気配がする。木偶の坊(あれ)、化身かなんか? なるかな様じゃないだけマシか。あんなチート勝てる気がしないし。ま、それは置いといて活性化してるって何があったんだろ?」

「何寝ぼけたこと言ってるんですか。ゲームのやりすぎですよ。って、そうじゃない。マスター、援護行きますよ!!」

雑魚(あいつ)くらい、護堂で一蹴出来るだろ。寧ろ”人間”を主張している僕が行ったら邪魔な気がってえええええええええ!!?」

 ああいった相手は人間にとっては「滅茶苦茶強力な」存在だろうが黎斗達にとっては「ちょっと手ごわい」もしくは「うっとおしい」程度の存在でしかない。アテナみたいなレベルで強かったら考えるけど。そう思い護堂に丸投げしようとしたまでは良かった。だが、そこでよくよく観察してみたのが運のつき。

「なんで、恵那が、取り込まれて、いるんだよっ!?」

「だから今恵那さんが天叢雲に取り込まれてるんですよ!! そう言ったじゃないですか! 何聞いてたんですかマスター!?」

「何も聞いてないわ!!」

 醜い争いを始める主従。ギャーギャー騒ぐ一人と一匹を尻目に、事態はどんどん悪化する。とうとう内輪揉めの余裕がなくなった黎斗が数歩、後ずさった。

「……オイオイ、皇居だぜ。……マジでちょっとやめようよやめてくださいおねがいします」

 冷や汗を流し、頬を引きつかせながら黎斗が呟く。口調がおかしくなっている辺り相当参っているのがわかる。こんなところで暴れられたら罰当たりなだけでなく、今後の生活に支障が出る。ただでさえ日本の中核たる東京で事件が多発しているのにここまで壊されたら、警戒ランクが限界突破してしまう。二、三歩歩けば術者に遭遇するくらい警備人員が増員されてしまったら、黎斗の正体が些細なことでバレかねない。

「遠隔攻撃で巨人(アイツ)のみ抹消させるには……うーん。護堂の山羊は???今日はもう使ったから無理。ってかもう夜やん。いつの間に。じゃあ邪気???これだ。僕天才」

 アーリマンの邪気攻撃なら闇に紛れて攻撃できる。上手くやれば護堂達に気付かれないで無力化できるかもしれない。叢雲だったら軽く撫でる程度で十分だろう。

「恵那さん死んじゃいますよ?」

「……あ」

 そうだった。恵那が人質の如く囚われているのだった。これでは邪気攻撃など出来はしない。やったら直後に恵那が塵となりかねない。

「だぁあああああああ!! もう、やってられっか!! どうしてこうなったし!!」

「ついでに、古老の勢力が半ば崩壊したらしいことはもう数時間前に伝わってます。マスターを狙って動いていた事を知っている組織が皆無と
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ