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魔王の友を持つ魔王
§22 染井吉野が鳴く頃に
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れば使える手札の数が飛躍的に増える。世の中其処まで甘くはなかったか。

「あーあ、これじゃ予めエルに力を貸しておくとかそんなとこか。実戦で使うにしても破滅の呪鎖(グレイプニール)破壊光線(カタストロフィー)の代償一時解除、くらいかね。それもそうとう隙がなきゃ厳しいよなぁ」

 これで自身の神格の何かを護堂(ウルスラグナ)の神格に書き換えた場合、能力は護堂と同一になるのだろうか? 能力を譲渡した場合権能は黎斗と同じなのだろうか? 現時点では謎だらけだ。いずれにしても要研究・考察である。彼を知り己を知れば、なんとやら。とりあえずエルに力を預ける案がこの権能を一番有効に使う方法になりそうだ。現時点では。……その案にしてもエルがカンピオーネの強大な力を受け止めきれるか、という重大な問題があるのだがそこはそこ。当たって砕けろ特攻精神。やってみて無理だったら一部譲渡で留めることにすれば良い。

「この能力は事前準備に使えても突然の対応とかには厳しいか」

 結局考察はそこに落ち着いた。全ての龍で自身の権能を改竄するのに二分。敵にする場合全ての龍を直撃させられるとは限らない。龍の数が多いほど時間短縮出来るのだから一匹や二匹しか命中しなかったらどう考えても二分以上かかる。大体二分ですら致命的な隙になりえるものだ。予め非戦闘系権能を改竄するくらいが関の山か。考察終了、これ以上考えてもキリがない。

「一応一段落ついたかな。さーて、スサノオへの連絡を先にするか、現世に戻るか。スサノオは直接話すべきだよなぁ、やっぱり」

 ここまで暴れたのだから念話で終わり、ではなく黎斗としては直接行きたい。だが、行くのならこの件全てが終わってからの方が良いのもまた事実。恵那の乱(仮)が終わるまではこちらに集中するべきか。

「現世に戻って護堂と遭遇も不味いよな。エルにとりあえず連絡かな」

 エルに向けて思念を飛ばす。もう妨害は消滅しているだろう。ならば通信用の呪符(怪しまれないように木の葉に擬態させてある特注品)も今なら使える筈。

「エル?」

「……あ、マスター! ごォ無事ぃでしッた……かぁあ!?」

「うんうん、無事よー。つーかそっちはどうなってるのよ?」

「つい先程っ護ぉ堂様がエ……さんと共にこちらへ戻ら……た。恵……は現在暴……です」

 エルは呪術の類が使えない。今は呪符を携帯電話のようにして黎斗と連絡をとっている。そして黎斗は念話だ。思念を直接送り付けている。もし、現地が騒がしいと???通信がおかしくなる。いや、それよりひどい。頭の中にこの状況を叩きつけられるのだ。「リリィ!!」だの「きゃああ!!」だの甲高い悲鳴が直接響くのだ。金属音やエルの声が聞こえない程度で済めばどれほど良かったか。

「ぐぉおおおおおおおお…
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