§20 激突
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とりあえず口調が怪しくなってきたが、諦めずに交渉を申し出る。御老公なんて言葉を用いる以上古老のメンバーだろう。須佐之男命以外に神が居るとは思わなかった。引きこもりまくっていた事が裏目に出た。だが、古老は須佐之男命の下で意思は統率されている筈。この集団も突然暴力には訴えないだろう。過剰ともいえる武力は威嚇に過ぎない、筈。今一自信はないけれど。
「要件? 汝が命、貰い受ける。腑抜けになってしまわれた御老公も、貴様を殺せば元に戻ろう。我らが母の権能も、返してもらおう」
「は?」
こいつは今、なんといった?
「……なんつー回答だよ。警戒していなかったツケが回ってきたのか? 足元掬われた形になんのか? コレ。どっちにしろまさかの事態だなヲイ。僕の命が欲しい? だが断る。秘儀、水隠れの術!!」
名前こそ格好良いがただ単に泳いで逃げるだけである。平泳ぎでじゃぶじゃぶと川を泳ぐ。流れが急なせいなのか泳ぐというより流されている気もするが、相手の姿がもう米粒大だ。こういう時に逃亡系の権能があるやつらを羨ましいと心底思う。遁術で逃げても神様達相手だと無効化されておしまいになりかねない。おそらく取り巻き軍団は無効化系の呪術を大規模展開するための人員だろう。三十六計逃げるにしかず。
「ははははは、戦略的撤退っ! さらばだー!!」
黎斗の勝ち誇ったような奇声が、周囲に響き渡る。
「あいつらしつこい!」
大樹に寄り添うように小休止。黎斗包囲網は止む気配がない。寧ろ酷くなっている気がする。
「スサノオ早く気づいてくんないかなぁ。このままだとマジで僕死ぬぞおい」
このままでは逃亡中に殺しつくされる。もう三回くらい殺されているし。ここまでされたら正当防衛が成り立つんだから反撃しようか。だが反撃して良いものか。
「神祖だか精霊だか知らんけどあの集団ホントどうしよう。媛さんや坊さん、スサノオの友人居ないといいんだけどなぁ。ウッカリ殺しちゃったら気まずいことねぇしなぁ。手加減するには神様が邪魔だし。……つーかさっきからなんで僕の居場所わかるわけ?」
背後から飛んできた矢を躱す。銃などといった近代兵器でなく弓なのが歴史を感じさせてくれる。もっとも、長距離弾道ミサイルやら対人地雷など使われないだけマシかもしれない。だが、こちらもおかげで地雷や毒ガスの類での迎撃が出来ない。なぜなら、卑怯だから。
「相手が外道戦法使ってくるんだったらこっちも容赦なく攻めるんだけどなぁ」
しかしさっきから逃走しているのにそれを全て察知しつづける彼らの情報網はどのくらいの規模なのか。流浪の守護で気配を遮断し隠行の術も完璧にしている筈なのに。
「……これは異なことを。ここは幽
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