第二部
第一章 〜暗雲〜
九十二 〜勅使〜
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「出立!」
「応っ!」
二人は中軍に置き、星が警護に当たる事となった。
どうやら、宮中で一度会った事を覚えていたらしく、私の指名に黙って頷いて見せた。
「歳三様。やはり、あの御方は……」
「想像に任せる。だが、恐らくは稟の推測通りであろうな」
「そうですか。……これが、凶と出なければ良いのですが」
小さく、稟は溜息をつく。
「おやおやー? 稟ちゃん、欲求不満ですかー?」
「ハァ、全くどうしてそうなるのですか?」
「風は何でもお見通しなのですよ? 勅使の方々の事とか」
そう言って、風は手のひらを口に当ててほくそ笑む。
「風。気付いたのであれば何も言わぬが、くれぐれも他言は無用ぞ?」
「勿論ですよ。風も、お兄さんの信用を失いたくありませんからねー」
協皇子との会見の事は、皆にも話せぬ事。
だが、恐らくはそれぞれに察しているのであろう。
「……洛陽に急がねばならんな」
「御意。糧秣の事もありますが、とにかく気がかりな事が多すぎます」
「疾風ちゃんも戻ってくるでしょうけど、風もあちこちに斥候を送っておきますね」
「うむ、頼んだぞ」
鬼が出るか蛇が出るか……いや、鬼は私か。
ならば、蛇退治をせねばなるまいな。
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