第二章「クルセイド編」
第二十三話「二人の関係」
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どと言う事を決めるのだろう?
もし途方もない悪意が、『リオン・マグナス』ですら無かった頃に彼を覆いさえしなければ、彼はありふれた事で笑って、ありふれた事で泣く。そんな少年だったのではないだろうか?
誰からの好意も善意も素直に受け止められる唯の男の子だったのではないだろうか。
だとしたら、彼のそんな一面が失われていないのだとしたら、それをさらけ出すほんの僅かな隙間があったとしたら。それこそが無二の相棒と言える剣と、たった一人の愛する女性だったのだろう。
そして今。
リオンの目の前にいる少女は、本来差し伸べられる筈だった星光の少女の手を受けられなかった少女はそれでもごめんなさい、と口にした。それは彼女が一番言われなければならない言葉なのに。
そんな彼女に、彼女を苦しめた不条理に怒る事のできた少年は。本当に素直な気持ちで手を差し出す事ができた。
……全く、坊ちゃんは問題を複雑化しすぎなんですよ。
(そうだな、シャル)
色々な事を相談して、呆れたようにそれでいて優しく答えてくれた剣の声が胸に蘇る。
……坊ちゃんのやりたいと思うことをやれば良いんじゃないですか。
言われたとおりに考えて。
出した結論はいっそ滑稽に思えるほど簡単だった。
「だから強くしてやる。その為の事は全部僕が教えてやる」
教師。
その答えを聞いた剣は一人思い出していた。
そう言えば人に物を教えるのが好きな少年だったな、と。
−−−−−−−−
「ふーん…………」
リオンの話を聞き終えたエレギオは頬杖をついた。
「つまりアレだ。戦い方を教える以上はフェイトちゃんの先を行かなくちゃ行けない。
教える自分が教える相手の力を何も知らないなんてお話にならないから知りたい。
でもだからってフェイトちゃんに習うのも本末転倒だから俺に教えて欲しいと、そう言うことだな?」
「……………………」
沈黙を肯定の証と受け取ってエレギオは続ける。
「それってつまり『ええかっこしい』だよな?」
「……………………」
リオンは尚も沈黙を貫いている。
そんな様子を見てエレギオは思った。
(まあワガママだって言うのは本人が一番自覚してる、か)
この少年がそんな簡単な事にも気付かず勢いだけで頼みに来るなんて事は有り得ない。エレギオはそのことを重々承知していた。そのことをふまえれば別にこのワガママを聞いてやるのもやぶさかではないかな、と思う。
だが。
(あの晶術って力と剣術だけで充分過ぎる程に怪物なコイツが更に魔法を使う、ねえ)
エレギオは悪人で、それ故にこんな事を心配するのも変な話なのである。
だがエレギオは知っている。力と言う物の本
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