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リリカルってなんですか?
A's編
第二十七話 後
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い。それが現実だった。いくら、後ろ髪ひかれる状況だろうが、それは許される立場には僕はなかった。だから、ここは心を鬼にしてでも帰らなければならないのだ。

「あんなっ! ショウくん、私の家、もっと別の本もあるんよ。ショウくんはどんな本が好きや? 気に入ったのがあったら、読んでったらええよっ!」

「いや、だから、僕は―――」

「ゲームもあるんやでっ! ショウくんは、ゲームするんか? 私は、少しやるんやけどな。うちの子が好きなんよ」

 よほど僕の気を引きたいのか、次々と自分の家にあるものを挙げていくはやてちゃんが痛々しかった。先ほど見せた表情を鑑みれば、彼女の中に一人でいることへの寂しさがあるのは間違いないはずだ。しかも、それを笑顔で覆い隠しているのがさらに痛い。

 しかしながら、本当に手立てがないのだ。もしも、何かはやてちゃんのそばにいられる手立てがあるなら、家族の誰かが帰ってくるまで傍にいることも吝かではないのだが……。

「あっ! せやっ! なんなら、泊まっていってもいいんやでっ!」

 ―――それは……一考の余地はありか?

 少なくとも出歩くことはない。危険性は遅くなって帰るよりも、かなり低くなるだろう。いや、しかし、出会って一日目で家に泊まるのはいかがなものか。

「どやろ? ショウくん」

 しかしながら、やはり、その表情で見られると僕は弱い。すぐさま、否とは言えなくなってしまう。可能性を考えてしまう。そして、その可能性は十分にありといえた。前提条件として、はやてちゃんと母さんの許可は必要だが。

「はぁ、わかったよ。とりあえず、母さんに聞いてみるね」

 晩御飯に続いて、今度は泊まるというのだから、母さんも驚くだろう。

 そう思っていたのだが、案外、話はスムーズに進んだ。もしかしたら、母さんも予想していたのかもしれない。家族が誰もいないということを言っていたことも聞いたのかもしれない。相手が女の子とも話していたのだが、さすがに小学生が相手で考えることでもないか。そんな具合であっさりと母さんからの承諾を得ることができた。ただし、一度、家に帰ることが条件だが。確かに着替えもない状態では泊まれないだろう。

「それじゃ、一度、僕は家に帰るから」

「すぐ帰ってくるんか?」

 ただ家に帰って、再び引き返してくるだけだ。時間にして三十分もかからないだろう。母さんが準備してくれるらしいから、僕が用意することもないし。だから、はやてちゃんが不安げな表情をしている理由が理解できなかった。もしかして、三十分でも一人になるのが嫌なのだろうか。だから、僕はできるだけ安心させる笑みを浮かべて答えた。

「うん、大丈夫。すぐ戻ってくるよ」

「そか………うん、わかったで。いってらっしゃい」

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