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リリカルってなんですか?
A's編
第二十七話 後
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に精通しているわけではないからだ。クロノさんたちならわかるかもしれないが、僕にはわからない。

 だが、魔法以外に親父の状況を説明できないのも確かであり、いったいどうしたものか? と考えたのがまずかったのかもしれない。周辺から感じる違和感よりもはるかに強い違和感――――まるでユーノくんの結界に入った時のような違和感を一瞬だけ確かに感じた。その直後、隣を歩いていた親父の姿が消えた。

「は?」

 魔法による結界に入ったことは理解できた。しかし、それ以上の理解が追い付かない。どうして? なぜ? 誰が? 何の目的で? そんな疑問がマルチタスクで同時に僕の頭の中で処理される。しかし、どの問いの回答も『不明』という結論だった。手がかりが一つもないのだから当然だ。ただ一つだけ理解できていることは、僕を結界に誘い込んだ『だれか』がいることだけである。

 僕は、周囲を警戒する。いつでもチェーンバインドを発動できるように手はずを整える。

 ―――それは、僕の前に姿を現した。

「――――あなたは、誰ですか?」

 僕の真正面。ユーノくんが使った封時結界であれば、当然であるが、人通りがまったくない道の真ん中に立つ一人の男性と思われる人。黒い髪に白いスーツに身を包まれ、仮面舞踏会で使われるような仮面で顔を隠した男性が僕の前に立っていた。

 彼は、僕の問いに無言だった。その代わりに無言でまっすぐと歩みを進めてくる。どうやら彼は、僕の質問に答えるつもりはないようだ。

「チェーンバインドっ!」

 いくらなんでもそのまま近づけさせられるわけがない。だから、僕はあらかじめ警戒して、用意していたチェーンバインドを発動させた。相手が魔法世界の相手でも、拘束ぐらいはできるだろう、と考えたからだ。しかし、その考えは甘かったと言わざるをえない。僕が発動できる最大数であるチェーンバインドが三本同時に仮面の男に向かって飛びかかる。

 そのままであれば、僕の白い魔力光で発動したチェーンバインドは、仮面の男を雁字搦めにするはずだった。だが、その想像は、男が腕を一振りして、パリンというチェーンバインドが砕ける音とともに無残にも砕け散った。

「え? あ、あれ?」

 魔法が砕かれるなんて想定外もいいところだ。どうやったのか? なんてわからない。クロノさんだったら、もしかしたら、わかるかもしれないが、魔法に精通していない僕にはわからない。しかし、わかったところで対処法があるわけではない。僕ができることはチェーンバインドを生成することだけだ。

「チェーンバインドっ!」

 今度は二本、遅れて一本の時間差で発動させたが、それも無意味。彼は、戦いに慣れているのだろう。不意打ち気味に発動した一本さえ見ているときと同様に腕を振るだけで砕いてしまっ
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