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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第40話 龍の娘
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きな生命体らしき存在が居るのが、仙術によって確認されている場所ですから。
 ただ……。

 俺は、立ち止まった後、タバサとアリアを見つめる。そして、俺達の周囲を音声結界で包んだ。

「さて。間違い無しに、この角を曲がった先に、何者かが居ます」

 大小ふたつ分の存在を感知したのは確か。但し、

「私には、ひとつは生命体のように感じて居ますが、もうひとつに関しては、生命体なのか、それとも、何か別の存在なのか判らないのですが」

 俺が、続く言葉を口にする前に、しかし、アリアがそう答えた。

 成るほど。彼女の感知能力に関しては、俺よりも高いと言う事なのでしょう。流石に俺では、ここまで離れて仕舞うと、生命体か、それとも擬似生命体なのかの判断を付けられるほどの感知能力は有していませんから。

 しかし、それならば、

「それなら、アリア。ジジちゃんの反応はどう思います?」

 俺の感知能力では、確かな事は言えないのですが、少なくとも……。

「恐怖に支配された状況とは思えません。少なくとも、ジジちゃんは自らの意志で、この坑道内に潜む未確認生命体と同じ場所に居ると思います」

 真っ直ぐに蒼き瞳に俺を映した状態で、そう答えるアリア。その答えは、俺の感じた物と同じ答え。
 しかし、ならばどうする。現状から推測すると、さし当たって、余計な刺激を与えなければ、ジジちゃんの身に危険が及ぶ可能性は少ない。そして、今回の任務。未確認生命体の排除は、ジジちゃんを通じて交渉を行えば、あっさりと解決すると思います。
 現在の状況から推測をするのならば、ですが。

「確かに、今回の任務に関しては、簡単に解決する可能性が高い。
 しかし、アリアが未確認生命体の事を、擬似生命体の可能性を指摘している」

 珍しく俺を見つめる事もなく、真っ直ぐに坑道の奥を見つめながら、普段通り冷静そのものの雰囲気で、そう口にするタバサ。

 それに、タバサの台詞は事実。もしそのジジちゃんと共に有る存在が、本当に擬似生命体ならば、現在は危険な存在でなかったとしても、造物主の命令如何に因っては、急に属性が変わる可能性も存在している。
 簡単に解決するか、それとも、悪い方向に話が転がるか。未だ、先行きは不透明な状況ですか。

 ならば。

「取り敢えず、強化と準備を整えた上で、正面から接触をする」

 俺の言葉に、二人の蒼い少女が首肯く事に因って、この未確認生命体とのファースト・コンタクトが開始される事と成ったのでした。


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