第4章 聖痕
第40話 龍の娘
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とした俺に対して、シモーヌが、
「それに、シノブ。出来る事でしたら、ロレーヌと言う家名で私を呼ぶのは止めて頂きたい」
……と、かなり堅苦しい騎士としての言葉使いで依頼を行って来た。
確かに、ロレーヌ侯爵領の隣で、家名を呼ばれ続けると目立って仕方がないですか。それに、西洋の女性騎士の有るべき姿を体現したような、この目の前の少女に取っては、家名に因って得た名声よりも、自らの行いに因って得た名声の方を貴ぶのかも知れません。
「ならば、以後、どのように御呼びすれば良いのでしょうか?」
そう、普段の言葉使いとは違う、よそ行きの言葉使いで問い返す俺。
しかし、どうも、この少女を相手にしていると、こちらの方も堅苦しい対応に成るのですが、流石にこれは仕方がないですか。俺は、タバサの使い魔で、俺が礼儀を知らない人間だと思われたら、それはそのまま、自らの主人のタバサの評価に直結しますから。
「親しい友人達には、アリアと呼んで貰っています。今回の任務では、共に姫を護る役割で有る以上、貴卿と私は同輩。ならば、私の方がシノブと呼ぶのなら、貴卿もアリアと呼ぶのが正しい」
かなりフランクな雰囲気で、そう言ってくれるミス・ロレーヌ改め、アリア。しかし、この世界に来てから出会った少女の中で、一番、貴族を感じさせる女性は、この目の前の少女ですね。
但し、貴婦人としての貴族を感じさせる女性などではなく、騎士を感じさせる女性と言う雰囲気なのですが。
「判りました。では、この任務の間は、アリアと呼ばせて頂きます」
ここで断っても意味はないですし、それに、タバサの正体を知った上で、更に、あの王族に対する対応を取ってくれる少女なら敵ではないでしょう。
それに、この目の前の少女からは、陰に属する気は発せられていませんから。
そう思い、アリアに対して答える俺。
俺の答えに満足したのか、少し首肯いて答えるアリア。そして、坑道の奥を覗き込み、
「それでは、先ず、ドミニクさんのお孫さんを探す方を優先する事にしましょう」
……と短く伝えて来たのでした。
☆★☆★☆
見せかけの魔術師の杖に、サラマンダーの魔法により明かりを点して、坑道を奥へと進む一同。
「それで、ドミニクさんの孫娘のジジちゃんが、朝早くに、一人でこの坑道内を入って行く姿を目撃されて以降、誰も彼女の姿を見た者はいないのですね」
狭い空間に、俺のやや落とした声のみが広がり、そして反射され、少しの違和感と共に、俺の耳にも届く。
俺以外の人間が発したかのような声と変わって。
「そうです。ですから、もう半日ほどは彼女の姿を見た人物は一人もいないとの事です」
アリアがそう答えた。尚、今回のタバサの任務は、このアリ
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