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くらいくらい電子の森に・・・
第七章 (3)
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カップをもてあそびなら、言葉を続ける。
「上層部に内緒で修正プログラムを完成させて、勝手に配信しちゃえばいいんだ。そうすれば、この件は『なかったこと』になる。あの開発会議が『なかったこと』にされたのと同じようにね」
紺野さんは一度だけ首を縦に振ると、窓を細く開けて壁に寄りかかった。刹那、窓の外から洩れ聞こえた車の排気音におびえて、柚木が視線を泳がせた。
「…大丈夫だよ、白のミニバンだ」
「―――ん」
僕の脳裏にも、あの悪夢のような逃走劇がよぎっていた。悪寒が背筋を這い登って
――そうだ。あの、謎の追跡。
これだけでは、あの追跡の説明がつかない。彼女は、たしかこう言った。

―――私たちは、人殺しになってしまう。

その後、例の『烏崎』がパニックを起こして彼女を殴り、僕らに暴言を吐いてうやむやにしてしまった。だから断言は出来ないけれど、なんとなく感じる。
この件は、多分紺野さんが把握している以上に、複雑で厄介なことになってしまっている。そして紺野さんも、それに薄々気がついていると思う。
だから紺野さんは、軽い肯定だけ僕らに与えたきり、腕を組んで黙り込んでしまったんだ。
「――じゃ、私たちが狙われた理由はなんなの?」
柚木が、当然の疑問を投げかけた。腕を組んだまま考え込んでいる紺野さんの代わりに、僕が答えた。
「伊佐木は多分、紺野さんの目論見に気がついたんだ。それで、身辺をさぐっているうちに、外部の協力者がいるらしいことを突き止めた。…悪い、怒らないで聞いて欲しいけど、柚木は多分、僕と間違われたんだ。…それで、伊佐木は指示を出した」
「…MOGMOGを奪えって?」
僕らの視線が、紺野さんに集中した。彼は居心地悪そうに身じろぎをして、首をゆるゆると振った。
「そんな筈ないんだよ。――ここまでやる筈、ない」
「でも…!紺野さんだって、会社の奴だって言ったじゃん!」
「まてまて、たしかにそうなんだが…奴らが、ここまでやる理由がなぁ…」

――そう。そこなんだ。

話を聞く限り、伊佐木という男は石橋を叩いて強度を測って向こう側に人を渡してザイルを張って初めて渡るような人だと思う。危険を冒してMOGMOG強奪なんて迂闊なキャラとは程遠い。
「指示は出したかもしれない。ただそれは強奪だとか誘拐だとかじゃなくて…」
「んー、あぁ……そうだ、姶良、ビアンキはどうした。何か分かるかもしれない」
「……あっ!!」
枕元に無造作に転がされたバックに飛びつく。さっきこぼしたエビアンで浸水してないだろうな…金具をはずすのももどかしく、どきどきしながらノーパソを引っ張り出した。とりあえず、濡れてはいなかった。でも画面が暗い。
「…ばっちり、落ちてるな」
「壊れてないだけ奇跡だよ。…いや、壊れてるかも?」
電源を入れると、ヴヴン
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