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くらいくらい電子の森に・・・
第七章 (1)
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ったけど。ちらりと柚木の様子も伺ったが、平然としたものだった。…僕の知らないところで、紺野さんとメールでも交わしてたのだろう。さっきのイライラがぶり返しそうになって、エビアンをもう一口あおる。
「…お前らを拉致しようとした連中…そうだな、姶良がメールで送ってきたこいつ。こいつは、営業1課の武内だ」
「は、営業1課!?」
柚木と僕が、思わずハモッってしまった。
「……すまない」
「ちょっと、話が全然見えないんだけど!?」
柚木のイラついたような声に、僕も軽く頷く。なんで、同じ会社の営業さんが、開発チーム主任の知り合いを拉致するんだ。
「今に分かるから。今はとにかく聞いててくれ」
紺野さんは若干落ち着きを失いぎみの僕らを軽くなだめると、またあの時の顔をした。
僕らに話せる部分と、話せない部分をより分ける顔つき。…やがて、ゆっくりと重い口を開いた。
「まず、謝らなければいけないことがある」
紺野さんは、決心しかねるように目前の本の山を凝視していたが、やがて小さく息をつき、顔を上げた。

「市販されているMOGMOGの、コミュニケーション機能とウイルス消化機能…あれは全部、ダミーだ」

「えぇ!?」
またハモッてしまった。柚木の表情をちらりと伺う。柚木も、僕を見ている。怒っていいのか、驚いていいのか、全くもって判断しかねている気持ちは同じのようだ。
「何か食ってる映像は、消化中なわけじゃなく、ただのアニメーションだ。コミュニケーション機能は、簡単な会話が出来るだけのソフト。もちろん、ワクチンの開発と配布は他のソフトと同様か、それ以上の水準で責任をもってやっている。利用者の識別もだ。MOGMOG同士のワクチン交換機能は、既存のプログラムの応用で済むし、こいつがあると、後々都合がいいので装備してるが…今の時点では大して意味がないな」
「で、でも!MOGMOGの売りっていったら、コミュニケーションと消化機能でしょ!?その二つが嘘だったら……」
「MOGMOGの存在意義って何?…ってなるよな」
紺野さんが自嘲気味に、柚木の言葉を引きとった。
「……年末商戦だよ」

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