第七章 (1)
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、俺がどれだけ驚き戸惑ったか!!」
「…その割にはボロボロの僕に自転車漕がせてニヤニヤしてたよね…」
「いや、俺の車バックミラー壊れてて、苦悩の顔がニヤニヤ笑いに見えるんだよ」
「そんな器用な壊れ方があるか!」
「なぜないと言い切れる!?」
「…だ、だってひび一つ入ってない…」
「なぜだ!?なぜひびが入ってないと壊れていないと言い切れる!?」
「…………」
……起きて早々だけど、僕はもう疲れ切っていた。
この人が何を隠しているのか知らないけど、打撲と筋肉痛で全身痛いのに、こんな不毛な言い合いをこれ以上させられるなら1日寝てたほうが数段マシだ。
「……分かったよ。もういい……」
「よくないっ!!!」
気合一閃、綺麗な木目のドアが轟音とともに開け放たれた。ドアの前に転がっていた雑誌が、埃を舞い上げて吹っ飛んだ。……や、やった……待ちかねたぞ、援軍到着だ!!
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「言っとくけど、弁解の余地も話し合いの余地もないからね!!」
本の山を一切避けずに蹴り分けながら、柚木が携帯電話を片手に近づいてきた。紺野さんが静かに息を呑む。…あの人なりに、整理されてたんだろうな…と、少し気の毒になるが今は敵に同情している場合じゃない。
「あ、あらら…柚木ちゃん、起きてたのか」
「これだけ大騒ぎしてれば、起きるわよ」
柚木が寝ていたらしきリビングルームは、寝室の比較にならないくらい整然としていた。広々としたフローリングの床に黒のカーペットが敷かれ、その上に柔らかそうな黒のソファとガラスのテーブルが置いてある。奥のほうには、60インチはあろうかと思われる薄型のハイビジョン、窓辺の大きい観葉植物。モデルルーム並みの生活感のなさだ。…多分、こっちの寝室を生活の基盤にして、リビングには女の子を連れ込んだりするんだろう。
「紺野さん、…ひょっとしてお金持ちですか」
「ハイビジョンにびびって敬語になってる場合じゃないでしょ!なんでそうやって気が散りやすいの!そういうの、超腹立つんだけど!!」
「ご、ごめんなさい……」
「何ですぐ謝るの!そんなだから紺野さんのペースに呑まれて変なことに巻き込まれるんだよ!!」
「……や、あの、すみま」「何!?」「……なんでもないっす……」
ひたすら萎縮して周囲に同化するのがせいいっぱいの僕。…紺野さんへの攻撃ついでに僕のMPもゴッソリ削られた気がするが、呼び出す召喚獣が強力であればあるほどMPを大量消費するのは世の必定…さあ舞い上がれ、僕のバハムート!解き放てギガフレア!!
「……紺野さん、嘘ついたよね」
柚木が突き通すような視線で紺野さんを睨みつけた。声色は薄氷のように鋭利で冷たい。紺野さんは息を呑んで後じさった。
「警察には俺が話しておくって言ったよね。だから安心して寝てたの
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