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Fate/stay night -the last fencer-
序章
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PrologueV-U
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「よう、お疲れ」
放課後。
帰宅する者、部活に行く者。
人が減って疎らになったところで、俺は凛と合流した。
先の労いの言葉は、休み時間にさえ動いていた凛のやる気を評してのことだ。
「成果はあったか?」
「とりあえず1/3くらいは、基点がある場所の目星をつけられたわ」
「そうか。なら早速それを潰しに行くか」
「いいえ、まだ見つかっていない基点を先に探しましょう」
「へ?」
それはどういうことだろう。
結界を仕掛けた本人の邪魔をする、結界の発動を遅らせるという目的であれば、先に場所が判明している基点を潰しに行ったほうが効率はいいはずだ。
基点を潰した数だけ結界が発動する可能性は減っていくわけで、基点潰しで時間稼ぎをしながら地道に一つずつ処理していくのが一番だと思うのだが…………
「黎慈はアルバイトがあるでしょ? まだ何処にあるかわからない基点を見つけられれば後は私がやっておくから、貴方はちゃんと仕事に行きなさい」
「…………了解、それは助かる」
「土曜の放課後とは言っても、今はまだ人も多いしね。人気が無くなる頃合を見て順に処理しておく。処理し切れなかったら、また力を借りるかもしれないけど」
「ああ。俺も基点潰しが終わるまではきっちり手伝うよ」
そうだ、凛のこういうところが彼女を気に入っている所以だ。
以前は貴方のコトなんて興味ないから知らない、なんて言っておきながら、実際はこうしてこちらのことを理解した上で気を遣ってくれる。
しかも彼女からしてみれば、こんなものは気を遣っているうちに入らない。
事実凛はこちらに気を遣ったつもりはないだろう。何故なら彼女にとって、これは当然の行動であるのだから。
それに利用すると言っておいて、この程度の扱いでは甘すぎる。そこまで言うのなら、もっと俺をコキ使えばいいのにと思う。
基点探しは全部俺、もしくは基点潰しは全部俺にやらせるとか。
別に人助け大好きでもないしマゾでもないが、こちらが協力すると言っている以上、向こうがどういうつもりだろうと関係ない。
信頼関係であろうと利害が一致しただけの関係であろうと、出来る限り相手を利用するのは同じはずなのだから。
だからこそ、やはり遠坂凛は良き人間だ。
一成は女怪だなんだと言っていたがそんなことはない。
魔術師同士というしがらみがなければ、本当は普通に人付き合いしたい相手である。
将来彼女を伴侶とする男も、自分がどれほどイイ女に巡り会えたかと思うはずだ。
付き合っていく難易度は高いヤツだが、そこは男の甲斐性で何とかするモンだろう。
……などと俺が遠坂凛の人物評を改めている間にも、彼女は先に進んで行っていた。
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